22日20:26 |
22日20:20 | 1310.8mile(2109.5km) |
22:05 | 1391.3mile(2239.1km) |
22:10 |
右車線には2台のトレーラーが、少し間隔を空けてとろとろと走っていた。何気なく左(追い越し車線)に出て、1台目を抜いたら、後ろから一緒に左について出てくる車が1台。こいつのヘッドライトがえらいまぶしい。
先に行ってほしかったので、いったん右に寄ってやりすごそうと思った私。2台のトレーラーの間に入ったら、なぜかこいつもついて右車線に来やがる。
「だからー、まぶしーって言ってんだろー! ついて来るなよ!!!」と思いながら、仕方なくちょっと加速して再び左に出てもう1台のトレーラーも抜きにかかる。ところがなんと、後ろの車は今度もついて来やがったのだ。しかも、車間をやたらと詰めてきている。
次の瞬間、「やばっ!」という直感。日本で聞いた、夜にハイビームであおってくるヤツがいたから頭に来て加速したらそれが覆面で、スピード切符切られた、というマッチポンプストーリー(???)が頭に浮かぶ。
ついつい動揺し、やってはいけない「思いっきりブレーキ踏み」をしてしまい、この自分の行動によってさらに動揺。頭はパニック。ちょうどトレーラーと併走していたので、とにかく右に戻らねばと思った私。今度は急加速してしまう・・・。最悪・・・
そして右に入ったら、やっぱり後ろの車もついてきて・・・。ハイ、ミラーの中で赤燈(アメリカでは赤青燈)がグルグルグル・・・
仕方なく右に寄せて車を停める
パトカーから降りて来たのは、トニー・ホーム(マイナーな例えでスマン)を2枚目にしたような、体格も顔もなかなか格好いい兄ちゃん。
「なんで停めたか、わかるよね?」
「・・・・・」
悪いっ! ほんっとーに悪いけど、全然わからんっ!
1台目のトレーラーは制限速度の時速75マイル以内で抜けた。2台目を抜くときも、確かにあせってアクセルを踏み込みはしたものの、それにしても時速76〜77マイルにしかなっていないハズ。絶対に時速80マイルは出ていない。
おそるおそる「ここって、75mile制限だよね・・・?」と聞く私。
「そうだよ」。そして兄ちゃん、ひと呼吸置いてから「停めたワケはね、車線変更を頻繁にし過ぎるから。ウインカーも出してなかったし」
「・・・・・!!!」
そりゃないよ〜! 兄ちゃん!!! ウインカーはともかく、車線変更はあんたがまぶしいから逃げるためにしたんじゃないか!
「最近、酒を飲んだりドラッグをやりながら蛇行運転している車が多くてね。ドラッグ、酒、銃なんか、持ってないよね?」
んなもん、誰が持ってるもんか!
「免許証と保険の書類を見せて」
へー、ワイオミングではこういう場合、保険の書類を出せと言うのか、などと感心してる場合じゃないっ!
「どこに向かってるの?」
「Yellow Stoneのつもりだったけど、地図を見たらサウスダコタが隣だったから、Mt. Rushmoreまで足を伸ばすことにした」
兄ちゃんは私の免許証とレンタカーの書類を持ったまま、「ちょっと待ってて」とパトカーに戻り、かなり長い間なにやら調べている様子。
戻ってきて今度は、「何時頃、Yellow Stoneを出たの?」。停められた場所までの時間と距離を計算して、平均速度がスピード違反かどうか調べているのかと思ったら、どうやら違った。「いや・・・だって・・・、書類によると昨日の昼にレンタカーを借りてるのに、なんで今ここに? 本当にロサンゼルスから来たの?」
・・・え、なんか変ですか? 今回はノンストップじゃないじゃん。途中で5時間もちゃんと(?)寝てるし、ちょくちょく車停めて動物や景色の写真撮ったり散歩したりしてるし・・・。驚くような速さで移動しているわけではない。
「本当に観光だけが目的で来てるの?」
持ってるものといえば寝袋に地図、ガイドブック、カメラ、パワーバー(保存食)。一体ほかに何の目的があってこんなところを走っているように見えるんだ?! ヤクの長距離運送でもしてるように見えるかね?!
「車の中を調べてもいい?」
はいはい、どーぞどーぞ。どうせもう今日は、この辺で寝るつもりだったし、心ゆくまでごゆっくりどーぞ。
レンタカーとパトカーの間のガードレールに腰掛けて、兄ちゃんが車内を実に念入りに調べている様子を眺めていたら、もう1台、パトカーが停まった。通りがかりの車から見たら、まるで2台のパトカーに追われて停められた凶悪犯みたいだよな・・・
2台目のパトカーからは、これまたなかなかいい感じの兄ちゃんが下りてきた。ワイオミングの警官って、みんな若くて格好いいんだね♪(たまたまだっての!) 私のそれまでの経験では、州を問わず、交通違反取り締まりのパトカーからぼってりと腹の出た警官が下りてくる、というパターンが圧倒的に多かったので、ちょっと感動。
暇だったし、とりあえず「は〜い♪」と愛想良く挨拶してみる。
トニー(最初の警官。勝手に名前つけるなって!)が、私自身一度も開けていないトランクとかスペアタイヤ用スペースとか、ボンネットまで開けて念入りに調べている間、私は2人目の兄ちゃん(警官)と世間話。
「Yellow Stoneは混んでた?」
「そうでもない」「こーんな(ジェスチャー付き)長いツノの鹿がいたよ」
「クマは?」
「クマは見なかったけど、バッファローなら腐るほどいた」(クマって、そんなに頻繁に見られるものなのか???)
10分もかけて車内を隅から隅まで調べた挙げ句、トニーはやっと気が済んだらしく、ようやく解放される。もっとも、この兄ちゃんたちは交通警官にしては珍しく(?)物腰も言葉遣いも丁寧だったし(格好良かったし)、最初はちょっとあせったけど、特に不愉快な思いはせずに済んだ。
出発する時、「まぶしいから先に行ってくれない?」と言ってみたら、「規則でそういうわけにはいかない。しばらく待ってから出発するから、先に出て」との答え。なんかトニーは本当に真面目そうというか、仕事熱心っぽかった。
それでは、と、「Have a nice evening」などと言いつつ車に乗り込んだけど、君たち今夜はきっと朝まで仕事だよね。ご苦労様です。
22:40 | 1410.3mile(2269.7km) |