前回の独り言に書いたように、私はポートランドで世にも幸せな体験をした。心の底からルンルンしながら、9時過ぎにサンフランシスコに向けて出発した。助手席には、「道中のおやつに」と頂いたジュースやおにぎり、果物。なんて幸せなんだろう♪ 何度も思い出し笑いをしながら、夜道を快調に南下する。
最初の休憩所で、スーツ姿からGパンに着替える(^^ゞ...。
ところで、前々回に書いたように、オレゴン州は自分で給油できない。できるもんならカリフォルニアまで給油せずに行けたらいいな・・・などと、距離の計算も何もせずに漠然と思っていた。しかし、やはりカリフォルニアまでは持たなかった。とある山道の途中で「ガソリン残量少なし」の警告ランプが付いた。すぐ次に現れた「ガソリンスタンド」の看板を頼りに、真っ暗な中、高速を降りてみた。なんとそこは、行きにも「ガソリン残量警告ランプ」が付いた直後に現れた出口であった。行きに通りかかった時は夕方だったので、個人経営の古いスタンドは営業していた。今回は夜中なので、予想通り閉まっていた。おまけに、あまりにも周囲が真っ暗で高速に戻る道がわからない! 案内板も見えない。車のライトは当然、車が向いている方しか照らさない。案内板自体がどこにあるかわからないので、照らしようがない。横道があるかどうか、交差点になっているのかどうかすら、よくわからない。もちろん、その横道が民家の入り口なのか、高速へ通じているのかは、頭を突っ込んで先を照らしてみなければわからない。ガソリンが少ないというのに、とんだガソリンの無駄遣いをしてしまった(_ _;;;...。
その後は2000rpmキープで走る。出口に「ガソリンスタンド」の看板が見えても、道路脇が真っ暗なところや、看板に書いてあるスタンド名が無名の時は無視する。ようやく「TEXACO」の看板を見つけ、ほっとしながら高速を降りる。確かに大きめのスタンドがあった。明かりも点いていた。しかし人の気配はない。わらにもすがる思いで給油機にカードを通してみた。通った♪ しかし案の定、ガソリンの流れは止められていた(_ _;;;...。何なんだよ、オレゴン州って! 滅茶苦茶不便じゃないか! 2度と来るか!・・・じゃなくて(また鶴田家に遊びに行くかもしれないし(^◇^ゞ...)、「2度と給油するか!」。カリフォルニアを出る前に満タンにして、ついでにポリタンも積んで、ポートランドを出る前にお隣のワシントン州にちょっと出て給油して・・・。(だから、夜中に走らなければいぃ〜んだってば(_ _;;;...)
またまたガソリンの無駄遣いをしてしまった私は、かなり真剣にあせり始めた。今度は1600rpmキープ。とっても郊外なので、携帯の電波は届かない。この真っ暗な山の中で急に止まってしまったら、と思うと、少々怖かった。
無事にカリフォルニアに入り、周囲も明るくなってきたところで休憩所入り。ぐちゃぐちゃになっている荷物を、飛行機に乗れるように整理しなければならない。車の横にスーツケース広げて、まるでホテルの部屋にいるかのように荷物を入れ直す。
今回のポートランド行き、本当に現地に行ってから決めた。だから、オレゴンやポートランドの地図も、到着した時にホテルでもらった大雑把な1枚があるだけだ。オレゴンはおろか、サンフランシスコから北上する道路の細かい分岐なども、まったく調べていなかった。複数の高速が入り組んだサンフランシスコ近郊部分をいっさい見ていなかった。郊外の部分だけ見て「自動的にポートランドに行ける5号」と「海沿いの101号」という認識しかなかった。
行きは、出発は101号で途中から5号に逃げた。帰りは5号を下りてきた。ロクに地図も見ずに、「ずっと5号を下って行けばサンフランシスコ市内に抜けるベイブリッジに到着する」と勝手に思っていた。
気が付いたら、地図に書いてある505という高速への分岐もみつけられないまま、505を使って迂回する予定だったサクラメントに着いていた。しかも、よくわからないけど行き先がロスだのサンフランシスコだのに分かれている。5号をそのまま行くとロスに行ってしまうようである。その事実を始めて知った時、私は一番左の車線にいた。10車線くらい右にあるサンフランシスコ行きの分岐は目の前だった。慌てて力一杯右に寄るが、寄り切れなかった(_ _;;;...。
ようやく正しい道に入る。日もすっかり高くなってきた。穏やかな春の日、素敵なお天気の中、頂いた美味しいおにぎりを食べながら緑の中を運転する。前日の楽しい出来事が次々と頭に浮かぶ。ああ・・・幸せ(^^...♪
飛行機の時間には数時間の余裕があった。到着した日に見た桜は盛りを過ぎていたが、サンフランシスコ市内のゴールデンゲート公園内にある日本庭園の近くには、種類が違うのかまだ満開の桜もあった(^^...♪(実は、日本庭園の近くにあるトイレを使いたくて寄ったのだが) 最後の数時間、市内北西の海沿いに車を停め、窓を全開にして海を眺めながら雑用をして過ごす。青い空、青い海、心地よい自然の風。マンハッタンに帰ったら、また窓の開かない建物に閉じこめられ、この世のモノとも思われぬ不快な空調に耐えねばならない。そう思うと、本当に帰るのが嫌だった(; ;...。
先日、大手新聞社が「Stephen」を「ステファン」と書いていたのに呆れた、と表紙に書いたが、どうも多くの人に誤解されている気がする。
一般の人にとって、正しく読めない名前があるのは当然である。外国人の名前に限らない。私だって、正しく読めない日本語、特に固有名詞はたくさんある。大手新聞社や雑誌社といった「マスコミが、怠慢により間違える」から呆れるのである。自分の影響力を理解していないのか。読みを調べるのも仕事のうちだろう?
「Stephenは、もしかしたらステファン」ではない。「David」を「デビッド」と書くか、「デイビッド」と書くか、「ダビデ」と書くか、という問題とは違う。「ステファン」という名前が予備知識としてあるから間違えるのである。少しだけ日本語を知っているアメリカ人記者が、「田中」という名前に見覚えがあったとする。「中田」という文字を見て、「お、これは知ってる♪」と勘違いして「TANAKA」と書くようなものだ。
新聞には原文が併記されている訳ではないので、読者にはそれが正しいのか間違っているのかわからない。もしかしたら本当に「Steffen」なのかもしれない(元々が英語圏の名前ではないせいか、他にも「Stefan」「Stjepan」といった綴りもあるようだ。「Stephen=Steveの正式名(「William=Billの正式名」「Robert=Bobの正式名」みたいなもんだと思う)」というのが既に存在するのに、わざわざ紛らわしい「Stephen」にするステファンさんもあまりいないだろう)。バレないから調べないという訳ではないのだろうが、「どうせ、わからんだろう」ってのも何か気に入らない。コロラドでの高校銃乱射事件の犠牲者を悼む曲を作った生徒は、「Stephenくん」だから、「スティーブくん」もしくは「スティーブンくん」である。
原稿を書いていたらアップルの「Schiller」という副社長が登場した。どうするか。アップルに電話して聞き、「シラー」であることを確かめる。「Stephen」の読み方を調べるには、電話をかける必要もない。辞書を引くだけである。同業者として、また3大新聞という大きな影響力を持つメディアのくせに、そういう怠慢が許せない。ものすごく珍しい名前ならともかく、「スティーブ」ってのは全米よくある男子の名前ベスト20くらいには入る(…と思う)。
などと1人、熱っぽく延々と書いたが、非メディア業の人にとっては「どうでもいい」ことなのかもしれない。出張先の結構高いホテルにシャンプーが置いてなかったので石鹸で洗髪した、と「笑い話のネタ」として語ったら、友人に「職業柄、そういうホテルは許せない。フロントにクレームした方がいい」と真剣に言われた。しかし、私にとっては「そんな面倒なことするより、石鹸で洗髪した方がいい」のだ。(実際には、石鹸で洗髪した後でタオルの陰に置かれていたシャンプーを発見した、という「オチ付きの笑い話のネタ」になってしまったのだが(_ _;;;...)
一種の職業病か・・・。
でもやっぱり、(ないとは思うけど)どっかの国の新聞に、自分の名前がたとえば中国語読みのアルファベット表記やら、音読み訓読み取り違えて書かれていたら、私はすごくいやだ。