99.4.5の独り言

 表紙には至って明るいサンフランシスコ到着記(?)を書いたが、あれを書いた後でさんざんな目に遭った。

 まさかホテルの部屋からインターネットに接続できないなどと、夢にも思わず表紙を書き、メールも何通か書き、いざ接続しようと思ったところ全く繋がらない。症状は、市内局番を回したところで話し中の音がする。最初、フロントに文句を言った時は「ホテル自体の回線がいっぱいなんだろうから、しばらく待ってみろ」と言われた。

 素直に買い物に行ったり、しばし時間をつぶしてから再度挑戦したが、症状は同じ。近所にあると思われるプロバイダのアクセス番号は10近くあるのに、全て同じことが起こる。またまたフロントに行く。フロント係は「お前の部屋の電話回線はちゃんと生きている」と言う。「じゃぁ、来て見ろ」と係を部屋に連れてきて症状を示す。しかし、係が自分の家にかけると、ちゃんと繋がる。他の部屋を試しても同じこと。ホテルのフロントからならアクセス番号にもかけられるので、アクセス番号は生きている。

 ところで最近、アメリカではそれこそ雨後の竹の子のように新しい市外局番が増えている。特にサンフランシスコからサンノゼにかけては、ここ2〜3年で番号がぐちゃぐちゃに増え、既存の番号も変更されている。このホテルがあるダリィシティという市も、同じ市内で半分だけ市外局番が新設の番号に変更されたそうだ。

 このホテルの部屋の電話、ダイヤル直通でかけられるのは市内通話だけ。インターネットに接続できるのなら市外通話の電話代を払っても全く構わないのだが、市外通話はクレジットカードやコーリングカードを使わないとかけられない。つまり、モデムからは市外に電話できないのだ。

 アクセス番号の中にはサンフランシスコの番号がいくつかあった。ホテルの係は「サンフランシスコは市内通話でかけられる」と断言する。結局、彼らも訳がわからず、同じホテルチェーンのオフィスだか、電話のメンテナンスを担当している人間だかに電話をかけた。彼と直接、話したところ、どうやらアクセス番号が新しい市内局番なので、ホテルの電話システムの市内通話の番号にリストされていないらしいことが判明。

 時は日曜日の夕方、月曜日にシステムを直すと言うけれど、私は日曜の夜も月曜の朝もインターネットが使いたかった。今回の出張のアポだって、ほとんど電子メールでやりとりしている。「予定通り、明日、伺います」メールだって出したい。月曜の朝に予定変更依頼のメールが入ってたらどうするんだよ! 「仕事にならんから、引き払う」。「じゃぁ、44ドル、チャージする」。けっ! 数時間、無為に過ごして、挙げ句の果てに44ドルも取られるんかい?! しかし、ここでこいつと言い争っても埒が開かない、ぼやぼやしてたら夜になってしまう。後で絶対にホテルチェーンの本社に文句言ってやる、と誓いながら、せっかく広げた荷物をまとめて車に積み込む。くそっ、また戦わねばならない。

 普段はそんなことしないのだが、今回は予約した以外に、いくつか適当な値段のホテルをリストアップして持って来ていた。実は、嫌な予感がしていたのかもしれない。シリコンバレー/ベイエリアは、下手なとこに泊まるとえらい高い値段を取られる。とりあえず、リストした中で比較的近いホテルに向かう。

 行ってみれば、調べてあったホテルは他の大手ホテルチェーンに変わってしまっていた。フロントで「市外通話、かけられる?」と聞けば、やはり「カードを使わないとかけられない」との返事。しかし前のホテルより値段は安くて部屋は倍くらい広いので、日曜の夜はそこに泊まることにする。祈るような気持ちでアクセス番号を10個ほど試すが、案の定、全部繋がらない。フロントに聞けば、「市内通話は5マイル以内」と明快な答え。前のホテルは「サンフランシスコは市内通話」と断言されたから納得できなかったが、こちらは諦めるしかない。もしかしたら、やはりデータベースに新しい番号が加えられていないだけかもしれないが、全てのアクセスポイントが本当に5マイル以上離れているのかもしれない。知る術もないし、いい加減疲れ果てた。日本と違いISDN電話なんてない。あったとしても、プリペイド方式のテレフォンカードが使えない(あるのかもしれないけど、NYのプリペイド・テレカを持っていたところで電話会社が違うから、どのみちサンフランシスコでは使えない。そのためだけに、サンフランシスコのテレカなんか買えるか!)し、アメリカの公衆電話はえらく高いから、小銭をよほど用意しないといけないだろう。もちろん、PHSもない。携帯電話とモデムを接続なんてアメリカでは全く一般的ではない。当然私もそんなことできる環境は持っていない。日曜の夜と月曜の朝の接続を諦める。

 けっ! 何がシリコンバレーじゃ?! クソ不便なとこだ! リハビリに来たハズが、初日から疲れ切ってしまったじゃないか!

 テキサス出張の時は、詳細は忘れたが市内通話と市外通話で発信番号が違ったり、同じ市外局番でも市外局番から回さないといけなかったり、なんだかえらくわかりにくくて接続には相当苦労した。電話機に書いてある説明の通りにやってもダメで、まずアクセス番号に普通の電話からかけてみて、返ってくるアナウンスを聞きながら試行錯誤しなければならなかった。

 またアメリカは、市内通話の区切り方が住人でもよくわからない場所が多い。市外局番が同じでも市外通話だったり、違っても市内通話だったりする。同じ市外局番でも、市外局番から回さねばならない地域もある。ロス出張の時は、ウェストLAに泊まってウェストLAのアクセス番号にかけたのに、市外通話料金を課金されたホテルもあった。かと思えば、「市内通話も有料」と言われたのに全く課金されなかったり。

 あぁ〜もう、アメリカの電話って訳わからん!!! 金なら払うから、接続させてくれよ!


 日曜の夜に泊まったホテル、水曜に行く予定になっているオラクル本社のすぐそばだった。コンビニ求めて車を走らせていたら、いきなり夕日に燦然と輝くオラクル本社の建物群が現れて度肝を抜かれた。いや、これ、言葉で説明できないんで、うまく写真が撮れたらそのうちアップします。いやぁ・・・趣味がよろしいというのか、ナンというのか。

 やっとみつけたスーパー、オラクルの余韻で(?)シャンプー買うの忘れてしまった。シャンプーないこと、ちゃんと確認して出たのに。「まぁ、いっか」と、石鹸でごしごし洗髪する。44ドルも取られるんだったら、最初のホテルからシャンプー持って来たら良かった。

 月曜、笑っちゃうくらい雨女の私。外は土砂降り。適当なホテルをみつけては車を停め、車からフロントまで行く間にずぶ濡れになる。何軒もそれを繰り返し、ようやくどこにでも電話できるホテルにたどり着いた時には水も滴る…になっていた。市外通話を部屋からかけられないシステムがことのほか普及していることに愕然とした。今まで、ホテルの予約をする際、市外通話ができるかどうかなんて考えたこともなかった。こんなシステムが全米に普及したら、滅茶苦茶困る。


エッセーのメニューに戻る
  • 次回の独り言に行く
    過去の独り言メニューに戻る
  • 前回の独り言に戻る
    トップに戻る