98.10.7の独り言

どうにもならないこと その2

 どうにもならないこと・・・。私は、黒人や先住民族や在日外国人や同性愛者ではない。日本生まれの日本人で、異性愛者の女だ。これは、どうにもならない。先に述べたような方々の気持ちはわからないし、わかっているフリもしたくない。しかし、可能な範囲でわかりたいと思う。マイノリティ(少数派という言葉もあるが、数だけ見た場合に決して少数ではない場合もあるので、弱い立場のグループという意味でマイノリティと書く)の方々が、どうにもならない理由のために不快な思いをしていることに対し、腹が立つ。できるものなら、加害者にはなりたくない。

 私にとって一番どうにもならないこと、それは「女に生まれたこと」だ。断じて、好きで女に生まれた訳ではないのだ。

 私は物心ついた頃から、日本も日本人も嫌いであった。理由は自分でも説明できない。当時の東京12チャンネルでよく放送されていたアメリカの映画やドラマに映し出される、20年前のアメリカの青春に憧れてもいた。しかし、日本以外ならどこでもいい、とも思っていた。何がそんなに嫌だったのか? 納豆が嫌いとか、暑いのが好きとか、そんな理由のない感情であった。小学校の卒業文集の将来の夢の欄に「カリフォルニアに住む」と書いた。

 随分と時間が経ってしまったが、本当にカリフォルニアに住んだ。そこは別に天国ではなかったし、自分が子どもの頃見たアメリカのテレビ番組に登場する白人には決してなれないことがわかった。日本語なんかまるで話せない日系3世、4世の友だちが、酒の席で白人の悪口を言う。バーで酔いがまわり、近くの席の客と話し始める。中国人でも韓国人でも「白人ムカつく」で意気投合し、仲良くなる。そんなところだった。

 正直言って、かつては日本人の容姿も嫌いであった。学生時代、5大陸を貧乏旅行したが、成田に戻ってくる度に周りを見回して何だか嫌な気分だった。自分も日本人のくせに、今にして思えば馬鹿げた話だ。別に白人が良かったという訳でもなく、ケニヤやマレーシア、フィジーから帰って来た時も同様の気分になった。

 とにかく、日本人と日本が嫌だったのだ。理由は永遠に不明である。

 今はどうか。日本人であることに限定すると、自慢できるのは平均的生活レベルの高さくらいで、恥ずかしいことも少なくない。しかし、自分が東洋人であることは、はっきり言って誇りに思っている。アメリカで、堂々と胸を張って「自分は東洋人である、文句あるか?!」と言える。

 たまに帰る日本は、天国のように思える。アメリカが日常になってしまった現在、単純に「非日常」は楽しいのだ。昔は日本の悪い面しか見えなかったが、日本の良い面も外に出て初めて見えるようになった。

 しかし、自分が女であることは、未だに悔しい。やり場のない怒りがわく。死ぬまで悔しいだろう。

 何故か? 多くの差別というのは、大体において差別する側に自覚がある。差別の自覚がないというなら、嫌悪はどうだ? 絶対にあるだろう。内心はどうあれ、意識さえすれば直接相手に不快な言葉を投げつけることくらいは避けられる。意識的に言うのなら、こっちも言い返してやる。私だって、理由があって嫌いであれば悪口を言うことはある。

 女に対する差別はどうだ。あまりにも無意識で、あまりにも無自覚で、あまりにも身の回りにありふれている。親しいはずの人間から発せられる、無頓着な言葉。あまりにも悪意がなく、それを当たり前だとすら思っている無邪気な言動。

 心の底から女性蔑視の考え方を持っている人間に対しては、正面から殴りかかれる。相手にしないという手もある。悪意のない人間と戦うことの方が余程難しい。社会全体に広まっている、誤った常識。無視するには、数が多すぎる。

 またしても、前書きの続きで終わってしまった。長文=駄文になるのも怖いが、誤解もされたくない。とっとと続きを書くよう、鋭意努力致しますm(_ _)m...。


 やっとラリー・エリソンにお目にかかれた。と言っても、単に近くで講演を聴けたというだけだが。前に一度、聴くはずだった講演を彼がキャンセルしたことがあった。ハイテク業界の有名人は皆、見ておきたいと思っている私は、以来エリソンを見られる機会をずっと待っていた。
 ジョブズと仲良しだというエリソンは、いつもラフな格好で登場するすっかり小太りのジョブズとは対照的。細身の体にぴったりとしたスーツを着こなし、胸を張って歩く。ジョブズのような、無条件に他人を惹きつけるカリスマ性はないが、遊び人で有名だというのは何となくうなずけた。写真や映像で見るより、実物の方がはるかにスマートであった。
 最も、実物より写真の方が良かった人なんて、修正しまくりの(しかも多分かなり昔の)写真をコンベンションのプログラムに載せているビル・ゲイツくらいだが・・・。
 あとは、スコット・マクネリを是非、見なくては!

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