98.7.1の独り言

 私はあいさつが嫌いだ。これだけ言うとかなり変人のように聞こえるかもしれない。実際、会社などでは多少、変人と思われているかもしれない。変人とは言わないまでも、無愛想な怖い人と思われていることは、まず間違いないだろう。

 もちろん、街で偶然、知り合いにあったら軽くあいさつくらいする。仲の良い相手であれば、自然と笑顔で言葉をかけるだろう。私が嫌いなのは、あいさつのためのあいさつ、何だか儀礼的というか習慣的にしているような、無意味なあいさつだ。

 私はこどもの頃、道で会った近所の大人にあいさつしなくてはならないのが、嫌で仕方なかった。自分が好んで作った知り合いでもないのに、たまたま近所に住んでいるというだけで、何故にあいさつしなくてはいけないのか。家を出るときに周りを見回し、近所の人が庭に出ているとあいさつをせずに済むように遠回りまでした。うちの母はこどもだった私を「愛想のない子ですけど」と他人に紹介したものだ。

 就職してから、友だちでもない他人との会話もさすがに多少はできるようになった。しかし、朝、会社のドアを開けて元気良く「おはようございま〜す」などと言いながら入ってくる人間がどうしても理解できない。あれは、誰に向かって言っているのだろう。例え会社に誰もいなくても、あいさつしそうな勢いだ。事務所そのものにあいさつしてるのか?

 私は朝、誰よりも早く出社する日が多い。先日、1ヶ月くらい前にうちの会社に入った人が2番目に来た。誰が来ようと特に気に留めてもいなかったが、コピー機のところで偶然会ったら「おはようございます」と言われてしまった。何だか驚いて、反射的に小声で答えたものの、どうも納得できなかった。道ばたで偶然会ったり、建物の入り口で会ったのならともかく、会社の中で会うなんて当たり前じゃないか。何で、いちいちあいさつするんだ。

 数日後、同じ人がやはり2番目に来た。私はお茶を注ぎに給湯機やコピー機がある辺りに行きたかったのだが、先日の件を思い出した。彼女に会わないよう、わざと裏をまわって行ったにもかかわらず、反対側から登場した彼女と会ってしまった。・・・で、「おはようございます」と言われてしまった・・・。

 向こうも悪気があって言っている訳じゃないのに、そんなに怒らなくてもいいじゃないか、と自分でも思うが、やっぱりどっと不機嫌になってしまった。今度は予想された行動だったし、あらかじめ「また、あいさつされたら・・・」と警戒していた(?)ので、どうしても返事ができなかった。

 相手に悪いなぁ、とは思うが、自分でも説明できないこの苛立ち。やっぱり私はかなり変なやつかもしれない。

 ひとつ確実に言えるのは、私は世渡りが下手だということだな。


 先日、ダウンロードしたシェアウェア。メニューバーに目玉が表示され、まばたきしたり目線がカーソルを追いかけたりする、愛嬌のあるお遊びツールだ。何種類かの目玉から選べるようになっており、瞼の色も「light skin」「dark skin」といった選択肢がある。

 同梱の説明文を見て、少し驚いた。下の方に注意書きとして、『利用者の希望もあって、実際の肌に近い色の瞼を選べるよう種類を増やしたが、「light skin」「dark skin」といった呼び方が気に障ったら本当にごめんなさい。まったく他意はありません』といった内容が書かれていた。

 不特定多数の人間が目にするものを発表する際は、ここまで表現に気を遣わねばならないのだ。何も考えずに公の場で発言し、抗議されてあわてて謝る馬鹿丸出しのどっかの国の連中も、少しは見習え。


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