97年、最後の独り言

 またまた年が変わる。昔から、どちらかというと世間一般のイベントに無頓着に生きている人なので特にどうという感慨もない。しかし、9月15日に去年の9月16日から今日までの一年間は・・・などと振り返ってみるとも思えないので、ちょっと立ち止まって過去を眺めてみるには良い機会かもしれない。

 私がインターネットを始めたのは、93年の秋。日本の雑誌に原稿を電子メールで送る、という必要にかられてパソコンを買い、今じゃ利用している人は非常に少ないであろうtelnetでNiftyserveに入り、「わぁ〜い、スゴイスゴイ」と感動していた。(当時から最先端の電子メール入稿だったのは、パソコン雑誌だったからのようだ。つい先日、日本の超メジャーな週刊誌に原稿を送る際、ファックス入稿と言われてかなり固まった)インターネットのメーリング・リストなんて便利なものもなかったので、かなりの時間と労力を使い、Niftyserveのフォーラムの書き込みを手動で腱鞘炎になるほどリターン・キーを押しながらダウンロードして読んでいた。

 ホームページを作り始めたのは、95年の夏くらいか。最初はアルバイト程度にHTMLファイルの内容の翻訳をやっていた。ふとしたことからPCVANのフォーラムの共同管理人になる羽目に陥り、95年の暮れにPCVANがインターネット接続およびホームページを開設するにあたり、今では考えられないがホームページのコンテンツを提供してくれる人が足りない、ということでフォーラムの内容を充実させてホームページを作成することになってしまった。ついでに、個人用ページも作りたくなって、本業・副業・PCVAN関連(これは全く収入には結びつかなかった(^^ゞ...)に加えてちょこちょこと「おねえちゃんのページ」を作り始めた。

 最初はPCVANの方が一般向け、「おねえちゃんのページ」は友人およびある程度親しくなったメール・フレンド向けだった。当時、WWWを見ていた人も少なかったので、たまに感想のメールが来ると非常に嬉しかった。ごく少数だが、当時から4回のURLの変更を経て、未だに読者でいてくれる人がいる。本当に感謝しています。ありがとうm(_ _)m...。

 文字通り急激にインターネット人口が増えたのは、97年だと思う。日本の友人からの連絡にも、人からもらう名刺にも、電子メール・アドレスがある。メールのやりとりをする人も、いきなり増えた。そして、それまであくまでもバーチャルなつき合いでしかなかったインターネット上の交流が、突然リアル・ワールドに降りてきたのが97年だったのだ。

 かつてはメールのやりとりをする人がいても、日本に帰国した際に会おうなどとは夢にも思わなかったし、遠隔地に住んでいるためNiftyserveのオフ会などとも無縁の私だった。しかし、Palaceでチャットというものにはまり始めたあたりから、その場に複数の人間が集まって同時に会話をする、という楽しみを覚えてしまった。同じ文字によるやりとりでも、リアルタイムだと較も違うかと思うほどリアリティがあって、会う前から現実の友だちのような気分になる。不思議なものだ。

 個人でホームページを持つ人が増え、いわゆる掲示板が多くの個人のホームページにできたことも大きい。メールのように特定の人にあてた文章と違い、ある書き込みに対して様々な人が返信をしてくる。これは「みんな仲間」といった感覚をもたらす。

 メール・フレンドであった方たちがニューヨークにいらっしゃった際、実際に何人かとお会いしたりもした。ある個人の方のホームページの掲示板がきっかけで、仕事のお願いまでしてしまった方もある(お世話になってますm(_ _)m...)。お会いしたことのない方と、物理的な郵送によるやりとりもするようになった。電子メール・アドレスを知っているのと、現実の住所を知っているのとでは、天と地ほどの差がある。私にとって、インターネットは仮想空間ではなく、完璧に現世のものとなってしまった。

 自分の好きな時に遊びに行けばよい、というインターネットの心地良さにはまり、物理的に誰かと遊ぶよりインターネットで過ごす方が楽しく感じられる。逆に物理的な周囲の人間との関係は希薄になっている気もするが、はっきり言って日本にいたって自分と合う人間を新たに探すのは大変なのだ。ましてや、こんな外国で本当に気の合う仲間をみつけるなんぞ、大海の針を拾うようなもの。ニューヨークに来て以来、そんな幸運には巡り逢っていないし、その努力をするのも面倒くさい。それに・・・
今や回線の向こうにいる人は、私にとって現実のものなのだ。
インターネット技術や個人のホームページで楽しい遊び場を提供してくださっている方々、メールをくださる皆さん、出逢いの不思議に感謝♪

 97年最後の独り言は、何だか仕事の原稿みたいになっちゃいました(^^ゞ...。面白くなかったですね、ごめんなさい。次はまた、理屈抜きの言いっ放しに戻ります☆ 98年も、どうぞよろしくお願い致しますm(_ _)m...。


 友人宅に遊びに行った。周囲でも一段と高くそびえる高級マンションで、屋上からの景色も良い。

 帰りのエレベータの中で犬を連れた40〜50代のオリエンタル女性と一緒になった。犬がじゃれついてくる。私は犬は大好きなのでなでていたら、彼女が早口で話しかけてきた。最初は韓国語で、次に英語で「ここに住んでるの?」、私の答えを待たずに「韓国人?」。少しためらったが、中国人、と答える訳にもいかないので「日本人」と答えた。

 それを聞いた瞬間の彼女の、何とも言えない軽蔑したような表情。無言でさっさとエレベータを降りてゆく彼女。自分が日本人であることが、少し恥ずかしくなる瞬間・・・。

 もちろん、白人に対して自分が日本人であることを恥ずかしく思ったことなど一度もない。厚顔無恥ぶりでは、彼らも負けていないからね。


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