97.5.11の独り言

 日本は随分と暖かくなって、春たけなわ、いや初夏の香りといったところでしょうか。私は日本にいた頃、何だかわからないけれどもウキウキと心が弾んでくるこの季節が大好きでした。何しろ、夏モノの私でしたから、どんどん夏が近づいてくるという喜びに体が反応していたのだと思います。

 ところで、私は5月からついにマンハッタンの住人と相成りました。今まではクイーンズという地区におりまして、私が住んでいた場所は平和で悪くはなかったのですが、まともに走らない地下鉄での通勤のストレスや夜遅くの帰りのタクシー嫌さに、ついにマンハッタン在住を決意したのでした。

 さて、予想はしていたものの、マンハッタンでのアパート探しは困難を究めました。まず、独り向けの物件自体があまりない。確かに何人かで部屋をシェアしているという話をよく聞きます。おまけに、たまにあっても高い・狭い・汚いの三拍子揃っているところが多いのです。

 地震もないニューヨークで、石造りの建物はそうそう壊れないとみえて、築100年以上経っていそうなアパートも珍しくありません。ネズミ・ゴキブリ当たり前、薄暗くて狭い廊下や階段(5〜6階だとエレベーターがないことも多い)、これぞタコ部屋といったような東京でもまずお目にかからないくらい狭いワンルームなど・・・。しかも、アメリカでは不動産屋に探してもらっても手数料は家主が払うため利用者に負担がかからないことが多いのですが、ニューヨークの不動産屋はナント2カ月分近くも手数料を取ります。

 日本だったらマンションの歴史そのものが新しいので、狭くても綺麗とか、高くても設備が整っているとか、なにか良いところがありそうですが、マンハッタンはどうしてこんな部屋でも商売が成り立つんだ?!と思うほど条件の悪い部屋がたくさんあります。

 大体、車で回れないからめぼしい物件を探して見て歩くのだけでも大変で、ついつい不動産屋に頼りたくなるというもの。しかし貧乏な私は不動産屋に頼むことは拒否、いろいろなメディアで大家が直接出している募集広告を探しまわり、やっと手数料なし(敷金のようなものはありますが)のまぁまぁ条件の良いアパートをみつけることができました。確かに駅までは少々遠いですが、同じレベルの家賃だと通常はあと2.3ブロック駅から離れてしまうことを思えば、内装が新しくてきれいで明るく、廊下やドアも広いこのアパートはお買い得でした。狭いと言っても、私はマンハッタンでキング・サイズのベッドや洗濯機を持っている珍しいヤツのようなので、でかいコンピュータ・デスクも何とか収まってますし、洗濯物も何とか干せるので、かなりラッキーと言わなくてはなりません。

 近所はとっても便利で、ほとんど全ての物が近所で買えるし、映画館も多く、レストランなんかこれでもかという程ありますし、家賃の割には良い物件だと結構、気に入ってます。というか、ほとんど諦めの境地で「住めば都」状態なんですが(^^;...。とりあえず通勤はドア・トゥー・ドアで20分と、かなり楽になりました。ま、アッパー・イーストと言えば聞こえもいいですし。

 仕事も忙しくてなかなか進まなかった新居の片づけもほぼ完成し、とりあえずは落ちつけそうな今日この頃です。しかし、ニューヨークのあまりにも高い生活費と税金は溜息モノです・・・。だって、税引き前の給料はロスにいた頃より多いのに、手取りは今の方が少ないですもんね。カリフォルニアだって、全米平均と比べたら税金も物価もかなり高いハズなんですけどね・・・。


 こちらは相変わらず寒い日々が続いています。おまけに5月は雨期なのか、雨も多いです。おとといなど、朝の通勤途中ではく息が白かったです。ここは冬の次は夏なのかもしれません。で、マンハッタンのアパートは法律で暖房代を家主が払うことになっているのはいいのですが、寒くなると勝手に暖房が入るしくみで、個人が寒いと思ってもスイッチを入れることができません。ですから、いっそもっと寒ければ室内は暖かくなるのですが、今頃のハンパな寒さが部屋の中ではとっても身に応えてしまうのです。


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