96.4.27の独り言

 先日、ちょっとローになる出来事がありました。朝、いつものように出勤前にメールのチェックをしていたら日本の友人から急ぎのメッセージが来ていました。大学時代の先輩が亡くなったという内容でした。

 先輩と言っても、もちろん30そこそこです。出勤途中の車の中から晴れた青空を見ていたら、少し涙がこぼれました。

 その先輩とはそんなに頻繁に会っていた訳ではなく、特にここ3年は全く連絡もしていませんでした。でも昔仕事で鹿児島に行った時に、ちょうど鹿児島に転勤になっていた彼と飯を食って飲んで、彼が自分の車まで貸してくれたお陰で私と同行のスタッフは早起きして仕事前に桜島の露天温泉に行けたっけなぁ、なんて思い出しました。そして、一番思い出すのは学生時代に皆で行ったツーリングやトライアルの時の彼の笑顔です。

 実は、彼には深いところで世話になっていた気がします。10年も昔、本当に嫌なことばかりが続いてもうこれ以上、堕ちることはないというくらいに落ち込んでいた時期がありました。その時に彼は、電話で私に「でもさぁ山根さぁ、人生にもしもはないんだからさぁ」と言いました。きっと本人ももう、覚えていなかったかもしれません。それ以来、私は事あるごとに「人生にもしもはないんだ」と自分に言い聞かせて生きて来ました。ある意味で、私の人生の哲学をくれた人だったかもしれません。

 例え彼が長生きしていたところで、こんな私の思いを彼に伝える機会などなかったかもしれません。でも、もう今となっては伝える術さえなくなってしまいました。高校生の頃から心に残っている言葉があります。「死んでから何をしたって、そんなの生きてる人間のエゴでしかない」

 彼はお子さんが2才で、家を買って頭金を払ったばかりだったそうです。死因は解剖しても不明。最近よくある突然死、もしくは過労死のようでした。さらに、通夜の席で別の先輩が癌で長くないという話も出たそうです。彼だって30代半ばです。ベトナム戦争の戦友じゃないんだから、集合写真を見ながらこいつも死んだ、こいつも・・・なんて勘弁して欲しい!


 今回は超パーソナルなお話になってしまいました。ここまで読んでくださってありがとうございます。好きなことのために死ぬならともかく、会社のために死ぬなんて! 私はお断り、一生好き勝手に生きていきます。


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