先日、初めてアメリカで選挙に行った。意味もなく緊張しながら投票所として指定された近所の学校に行き、受付のおばちゃんにやり方を説明してもらい、(多分)どうにか無事に投票を終えた。
そもそも、日本の選挙システムについてよく知っているのか?と聞かれても、「うん」とは答えにくいし、日本で最後に投票に行ったのは、はるか昔の話。投票日に投票所に行くより不在者投票をした回数の方が圧倒的に多いし、ここ近年は当然のごとく海外からの郵送による投票。日本の選挙や投票システムについての知識もいい加減怪しい私だが、すべてが日本とはまったく違うアメリカのシステムには、かなーーーり戸惑った。というか、そもそも投票案内のような小冊子が郵送されてこなかったら、選挙があることすら知らなかった。
この小冊子、表紙も含めて実に28ページ。内部には、こんな感じで、選挙区分(って言うのか?)とその候補者名が、6ページにもわたってリストされている。投票しなければならない項目数、実に26!(うち2つは、条例制定への賛否を問う投票) ひえぇ〜〜〜! アメリカの選挙って、大変なのね! 日本の選挙で、こんなにたくさんの項目について候補を選ばなければならないことなんて、絶対にない(と思う)。
最初は、26の項目、それぞれについて選ばなければならない、ということすら、理解していなかった。説明を読んでも、意味不明な(辞書をひいても、やっぱりわからん)単語が出てくるし、小冊子に載っていたウェブサイトを見ても詳しい投票の方法なんて載っていない。英語以外の案内を請求できるって書いてあるけど小冊子が届いた時点ですでに請求期限を過ぎてるし、たとえ日本語版を取り寄せたところで直訳調の日本語版のほうが英語版よりわかりにくいというのもよくある話だし・・・。それでも、投票日までの約1週間、暇をみつけては小冊子を手にとって眺めているうちに、どうすればいいのか、なんとなーくわかってきた。
選び方がわかったところで、誰に投票するかも問題である。だって、そもそも誰も知らない。さらに、選挙人登録の際に支持政党を登録してあるため、その党の支持者用の小冊子が送られてきており(投票の際も、その党の支持者用の投票用紙が渡される)、候補者はみな支持政党に所属している。この辺、お恥ずかしながら不勉強で、どういうシステムでそうなるのか、それぞれの党の割り当てはすでに決まっているのか、あるいは党にかかわらず得票数によって当選者が決まるのか、わからない。とにかく、候補者個人は知らないけど所属している党を支持するからこの人に投票しよう、という選び方もできないのだ。
たまーに見るテレビにたまたま流れた選挙CM、選挙前日には郵便受から溢れるほど届いた選挙DMなどを参考に、最後は名前を参考に(どうしても資料がない場合は、よりマイノリティっぽい名前の方に投票!)、前日までにどうにかこうにか選択を終える。
いざ、投票! 会場に近所の学校を使うあたりは、日本と同じなんだな、などと思いつつも、何度も前を通ったことのあるその学校の前を当日に改めて車で通ってみて、投票所の位置を確認してみたりする。そしてわざわざいったん家に帰ってから、何故かミョーにキンチョーにしつつ、小冊子を握りしめながら歩いて投票へ・・・
横長のテーブルが並べてあり、向こう側に受付の人が何人か並んでいるあたりも、日本と同じような感じか。左端の名簿との照合のところに大事な小冊子を置き忘れそうになったりしつつ、真ん中辺の人から、支持政党用の投票用紙を受け取る。
・・・・・
?????
「なんじゃ、こりゃ???」と、私の顔にも書いてあったのだろう。投票用紙を渡したおばちゃんは、受け取った時の私の顔を見て、すかさず「このシステムで投票したことある? ない?」。そそくさと見本の投票用紙と穴開け機とでも呼ぶべき投票システムを出してきて説明してくれた。そう、投票システムは、先の大統領選の際にフロリダ州で間違いやすいとニュースになった、パンチ方式。投票用紙の候補者名の横に穴を開けるシステムだ。
投票用紙は細長く、下のほうに番号と丸い穴ががずらっと並んでいる。マークシートに似ていると言えば似ている。穴開け機(?)は、説明が難しいのだが、台付ファミレスのメニュー小型版・・・じゃ、全然わからんか・・・(小冊子の表紙で犬の右下に、簡略化した絵が描かれている)。確か横20センチ縦40センチぐらいの平べったい台で、内部に投票用紙を差し込む。上部には、投票用紙の穴にかちっとはまるような位置合わせの突起がある。表面には、送られてきた小冊子と同じ並びで候補がリストされた、ラミネートされたページが付いている。このページをめくり、自分で印を付けて持ってきた小冊子の同じページと並べ、専用のペン状のものを穴開け機に刺す(こんな感じに候補の右に○があるので、黒く塗る代わりに刺す)。ページの取り付け位置が水平方向に少しずつずれているので、ページをめくると縦に並んだ穴の位置が右にずれ、投票用紙の次の縦列に穴を開けられるようになる。
選択を終えて投票用紙を台から抜き、持って行く際に見たところ、選択した番号に穴が開いているわけではなく、黒くなっているように見えた。表面の紙が破れて、中に重ねた紙が見えているような感じだったが、なにせ緊張していたので(なんでだ?!)観察不足。いずれにしても特殊なしかけのある紙なのだろう。よく考えられているような原始的なような、よくわからないシステムで新鮮だったし、少なくとも共和党の息のかかった会社のみが製造保守管理していて投票数操作し放題の電子投票システムよりは、ずっとマシだろう・・・(というか、次回投票までに、もっとちゃんと勉強しようっと)
すっかり間が空いてしまって、今さら前回の独り言の続きをつらつらと書くのも間抜けなので、要点だけ・・・
鍵はあるのにドアが開かず、締め出しを食ってしまった私は、仕方なく大家さんに電話。運良く大家さんはすぐにやって来たものの、とっとと鍵屋を呼べば一瞬で済みそうなところ、大家さんはあくまで自分で解決するつもりらしく、車から工具を持ってきては、あれやこれやと大汗をかいている。私は寒い中、延々と外で待たされて、最悪。結局、なにをどうやってもノブを回すことはできず、ドアの周囲の木枠をほとんど壊すような形でようやく開扉。
その後も大家さんはあれやこれやと数時間に渡ってドアと格闘。ドアノブと鍵2種類を交換し、さらに翌日もやってきて木枠を作り直し。あの労働量とかかった時間、材料費とそれを買いに行く手間暇経費を考えたら、最初の時点でとっとと鍵屋を呼んだほうがよっぽど安上がりだったと思う・・・というか、最初から自分でとっとと鍵屋を呼べば良かった・・・