2005.10.29の独り言

 これまで書いてきた引っ越しにまつわるお話(愚痴)は、一般的な内容が中心だった。アメリカで引っ越しをする場合、誰もが多かれ少なかれ経験する、ある意味避けられないトラブル(&一部、うまくいったお話)である。今回は、今現在住んでいるアパートに関するお話。

 先に書いたように、前のアパートを一刻も早く出たい一心で、かなりあせってこのアパートを契約した。とりあえず広いことが取り柄の、1階に2軒、2階に2軒しか入っていない個人オーナーの小さなアパートである。日当たりもいいが、大通りに面しているので騒音はかなりひどい。暑い日など、日中に窓を開けていると電話やテレビの音がよく聞こえない。

 最初に部屋を見せてもらった際、引っ越す理由を大家さんに聞かれ、「建物が古くて、床のきしむ音、隣や階下の住人の立てる騒音、雨音にも我慢できない」と答えた。このアパートは築何年かと尋ねたところ、「新しくはないけど、そんなに古くもない」との返事。そして大家さんは、「僕は190パウンド(要するにデブ)あるけど、ほーら、大丈夫だろ?」と、寝室で巨体をジャンプしてみせた。

 私の部屋の真下に住んでいるのは、大家さんの妹。彼女の部屋に移動して契約書を書いている際に、大家さんは彼女に上記の話をしていた。だから、階下の住人とのトラブルは絶対にあり得ない(最初から私は「ボロくてうるさいアパートが嫌だから引っ越す」と言い、大家さんは「うちは絶対に大丈夫」と答えたわけである。例え実際には床のきしむ音がうるさかったとしても、大家さんの妹としては間違っても文句は言えまい。もっとも、大家さんそっくりで体格のいい彼女、どう見ても神経質とは思えないし、上階の音なんか気にもしないかも)。

 そんなわけでここに住むことに決めたのだが、アパート選びを早まったかなと思い始めたのは、引っ越して10日ほど経ったクソ暑い日。シロアリが大発生したのである。
※シロアリは普段は壁などの内部にいるのだが、通常は年に一度、羽根が生えた状態でいっせいに外に出てきて、新たな住処を求めて拡散する。

 ロサンゼルスのアパートでは、シロアリが出ることは珍しくもなんともない。友人からもシロアリが出たという話をよく聞くし、前のアパートにも出た。しかし普通は年に一度、春先から初夏にかけて出るハズである。それなのに何故かうちのアパートの場合、8月も下旬になって大量発生し、しかもそれが数日間続いたのである。引っ越し早々、勘弁してくれよ、もう!

 この時は、年に一度のことだし、諦めて我慢しようと思った。そもそも、自分ちじゃないしね、どうせすぐに引っ越すんだから、家がシロアリに食われようと、知ったことか!

 ところが、その後も羽根の生えた状態のシロアリ発生は、一度に大量にというわけではないものの断続的に続いた。シロアリが落ちていないか(外に出てきたシロアリは、何故かほとんどが死んでるか、瀕死の状態で発見される。元気なヤツは発見される前にとっととどっかに行っちまってるのか・・・?)、常に床やカーペットを気にしなければならない生活である。出た場所は部屋の南側、台所の窓枠からと、寝室の窓枠から。広いのが取り柄の我が家の場合、この2カ所間を移動するのに普通の歩幅で27歩。要するに遠い! ひどい時には1時間ごとに掃除機を持って、この2カ所を行ったり来たりしなければならなかった。

 そのうち、心なしか、引っ越してきた直後より床がぎしぎし鳴るような気がしてきた。カーペットの上を裸足で歩くと、明らかに床がへこんでいる部分があるのもわかる。さらに、誰も何もしていないのに、壁や天井がバキバキとかなり大きな音を立てて鳴る。まるで何か相当重い生き物が屋根の上を歩いているかのようである。周囲が静かな夜など、思わず目が覚めてしまいそうなほどの大きな音である。

 私にとって、もっと許せなかったこと。それは! そう・・・、私が心の底から嫌いな、ゴキブリ! 引っ越してから約1カ月半の間に、ごくごく小さいものではあったけど、3回も出た・・・

 ニューヨークじゃないんだからさ! ロサンゼルスでこれは、はっきり言ってあり得ないというか許せないというか、許容範囲を超えている。前のアパートは5年数カ月住んで2回、かなり前に3年半ほど住んだロサンゼルスのアパートでも1〜2回。普通、ロサンゼルスのアパートのゴキブリ目撃回数なんて、そんなもんである。それがわずかの期間に3回!!! はっきり言って、泣きたかった。ここのアパート、大ハズレじゃん!!! 1年契約だから今すぐには引っ越せないけど、来年の8月には絶対に引っ越してやる、と、固く心に誓う・・・

 それにしても、「ゴキブリ出るか?」と聞いて「出る」と答える大家や管理人もいないだろうし、どうやってゴキブリが出ないアパートを見つければいいんだ?! 年間降水量も増えてるし、ロサンゼルス全体のゴキブリ密度(???)が上がってるんだろうか・・・? 新しいアパートなら出る確率は低いだろうが、住宅バブルのロサンゼルスで、アリ・シロアリ・雨漏り当たり前のアパートにかなりいい値段で借り手がついているこのご時世。新築アパートなんかに住めるわけがない。

 そんなこんなで、かなーりめげて落ち込んでいた9月下旬の、やっぱりクソ暑い日。2度目のシロアリ大量発生が起きたのである・・・(続きは次回に)


 去年の冬は記録的(100年ぶり?)に降水量が多かった。しかし、その去年ですら、最初のまとまった雨は10月。それなのに今年は9月からまとまった雨が降り始めた。10月には、数回のまとまった雨に加え、「曇天時折小雨」という暗くて肌寒い日々が1週間も続いたりした。なんだかこの冬も雨が多そうである。というより、これからはもう年々、降水量が増えていくのかもしれない。

 それなのに、気候はどんどん変化しているというのに、全然追いついていないのがインフラ整備。今までに何度も書いているけど、ロサンゼルスはとにかく町全体が雨のことを考えずに作られている。先日、まとまった雨が降った際には、複数の友人からアパートが雨漏りしたという話を聞いた。今時、日本の賃貸家屋が雨漏りするなんて、あり得る?! ほんっとーにアメリカって、どこが先進国なんだよ?!

 というわけで、うちって雨漏りしないだけマシかも。これまでロサンゼルスで住んだのはアパートの最上階ばかりだったけど、一度も雨漏りを経験していないということで、やっぱり私は部屋選びの運がいいのかもしれない。というか、そういうことにしておこう。その方が幸せだから・・・


エッセーのメニューに戻る
  • 次回の独り言に行く
    過去の独り言メニューに戻る
  • 前回の独り言に戻る
    トップに戻る