2002.5.25の独り言

 その人が持ちあわせている「運」というものについて、しみじみと考えてしまった。

 在米日本人記者仲間のAさんから、ちょっとした質問の電子メールが届いた。日本にいる、と書いてあったので、返事のついでに「よく日本に行ってるよね」と書いたところ、なんと、貴重品一式(現金、カードなどが入った財布とかパスポートとか、名刺入れも、と書いていたので、おそらくセカンドバッグごと)盗まれたんだそうな。それで、ビザの再申請のために(仕方なく)日本にいるんだと。

 非常に気の毒だとは思うんだけど、我ながら本当に失礼だなあとも思うんだけど、そういう悲惨な状況とAさんがなんだかあまりに似合い過ぎていて、ウケてしまった・・・

 Aさんは、(以前どこかでネタにしたような気がするが)パソコンがウイルスに感染したといって、日本の知り合いに直してもらうそのためだけに日本に行ってしまったという強者。このエピソードだけでも、どんな人かかなりわかると思うのだが、まあどっちかというと情けない系のキャラクターである。ついでに間も悪い(間の悪さに関しては、私も結構、競ってるかも)。一方、仕事関連の特定ジャンルに関してはオタク級(この辺からも、どんなキャラクターかイメージしてください)の知識を誇る。別に悪い人じゃないし、彼から情報もらって助かることもあるので、こちらはこちらの得意分野で適当に恩を売りつつ、ギブ&テイクでうまくつき合っている、という感じ。

 さて、同じジャンルの在米日本人記者仲間に、Bさんがいる。これがまた、Aさんとは実に対照的なキャラ。「悪運」という言葉は、彼のためにあるようなものである。非常にちゃっかりしていて厚かましく、相手の都合なんぞおかまいなし。人の話は聞かずに、自分の言いたいことだけ延々としゃべりまくる。しかしどう考えても悪気がなく、話の内容も単なる自慢話やらつまらんギャグやら、実はガキっぽいだけだったりする。嫌みとか策略とかはない。いわゆる「すごく幸せな人」である。ムカつく時や、うるさくて耐えられなくなる時も多々あるのだが、憎めない。

 非常にわかりやすいエピソードを1つ。私とAさんは、取材対象と一緒に夜に現地入り。Bさんは、飛行機が遅れて現地到着が翌朝になってしまった。普通だったらBさんが不利になるハズなのだが、決してそうはならない。私とAさんは、夜のうちに取材対象から、「疲れているので、明日の午前中は休ませてください」と言われてしまう。仕方ないので、翌日の午前中は午後からの取材で使うレンタカーを借りに行ったりして時間をつぶす。その隙にホテルに到着したBさん、何も聞いていないのをいいことに、取材対象の部屋に電話をかけてたたき起こし、タクシーで連れ出して独占取材。

 我々がレンタカーでホテルに戻ったところ、目の前のタクシーから絶妙なタイミングで降りてくる取材対象とBさん。「どうせ、こんなことだろうと思ったさ・・・」と、顔を見合わせる私とAさん。

 もちろん午後の取材には、我々が借りたレンタカーにちゃっかりBさんも同乗する。

 Aさんがしみじみとつぶやく。「ちょっと時間が余ったから何気なくスロットやって、100ドルするのが俺(本当にその朝、すったらしい)。『時間が余ったからちょこっとやったら、500ドルもうかっちゃったよ♪』って自慢するのがBさん」。うぅ〜む、まさにその通り・・・

 AさんとBさんは、年がら年中、一緒に仕事をしている。お互いにぶちぶち文句言いつつも、つかず離れずでなんとなく仲良く(?)やっている。2人の対比が非常に際だっているだけに、端から見るとなかなか面白い組み合わせである。今回はAさんの話なのにBさんの説明が長くなってしまった。でも、Bさんと並べると、Aさんのイメージも湧きやすいっしょ?

 そんなAさんでも、さすがにセカンドバッグ丸ごと盗まれるなんて経験はそうそうないとは思う。けど、いかにもありそうなのである。Aさんの泣きそうな顔が容易に目に浮かぶ。本当に失礼なこと書いてるとは思うんだけど、悲惨な状況があまりにも似合っている。

 これが人生というのか、定められた運というのか・・・。世の中って、どうしてこんなにいかにもな人の上にいかにもな出来事が起こるようにできているのだろうねえ。

 ♪運がいいとか〜、悪いとか〜、人は時々、口にするけど〜
 ♪そういうことって、確かにあると〜、あなたを見てて、そう思う〜〜〜

 と、古い歌のフレーズが頭の中をぐるぐる回ってしまう私なのでした。

(まっ、私も人のこと笑えるほど運が「良く」はないけど、彼のが非常に「弱い」のに対して、私のは「強い」と思う)


 ・・・でさ、来週の仕事、Aさんの情報を結構頼りにしてたのに、日本なのぉ〜?!

(自分で勉強しろよ!)


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