2001.12.6の独り言

 先週から今週頭にかけて、約1週間の間に6回ほど米国内便に乗った。搭乗前のチェックは聞きしにまさる厳しさで、本当に面倒になっている。

 機内持ち込み荷物のチェックでは、X線機器を通す際にノートパソコンは鞄からいちいち出して単独で通さなければならない。空港によっては、「起動してみろ」と言われる。まだノートパソコンが珍しかった頃(?)には、たまに言われることもあったが、ここ3〜4年はまずなかった。

 JFK(ニューヨーク)では、X線機器を通した後、別のテーブルにノートパソコンを移動されてしまった。何をするのかと思ったら、先端にガーゼのようなものがついた細長い装置で、ノートパソコンの外側を隅々までこすっていた。まるで巨大な綿棒で筐体を掃除しているみたい。全体をくまなくこすった後にガーゼを装置から外し、機械(特定の物質の検出器?)にかけていた。一体、何を検出しようとしていたのか、謎。ノートパソコンの周囲のみから検出される危ない物質って、何だ・・・???

 ノートパソコンの検査に関しては、X線機器のベルトコンベアに引っかかってパーツの一部が破損した、といった苦情が、多くの旅行代理店に寄せられているらしい。そんなこと言われても旅行代理店も困ると思うのだが、きっと他に苦情を聞いてくれる窓口がないのだろう。

 なんといっても検査をしているのは、(ごくごく少数の例外を除き)繊細さのかけらもないずぼらで無神経なアメリカンである。飛行機関連に限っても、フライトアテンダントにコーヒーを服にかけられた話とか、通路側の席に座っていたらヒジにカートを思いっきりぶつけられた話とか、例はいくらでも出てくる。私は幸い、所持品を壊されはしなかったものの、ムカついた場面が何回かあった。

 鞄の中のポーチの中身を出して確認した後、ポーチと中身をばらばらに鞄に詰めて、鞄のファスナーを閉めようとしやがった時には、思わず「NO!」と叫んでしまった。可能な限り不愉快そうな表情で相手にガンつけて(?)から、鞄を奪い返した。ふざけんじゃねーよ、この馬鹿野郎! てめーが荷物を元通りにすることなんて最初から期待してないけど、せめて出した状態でこっちに返せよ! どうしたら、ポーチに入っていたものを勝手にバラバラに鞄に入れてファスナーを閉める、なんて行為ができるのか、本当に理解を超えている。

 台の上の検査後のノートパソコン。持ち上げず、そのままこちらにずりずりと押してよこした馬鹿! てめーの顔面、台にこすりつけてやろうか?! 本当はそれでも足りない。顔についた傷はほっときゃ治るけど、筐体についた傷は永遠に消えないんだよ! 持ち上げて渡すか、せめて放置してくれ。自分でちゃんと持ち上げるから。

 JFKは、人体のチェックも厳しかった。金属探知ゲートを通る時に鳴ってもいないのに、さらに金属探知棒(?)を持った係員に全身チェックされる。これじゃ金属探知ゲートの意味、ねーじゃねーかよ!

 さらに、「ランダム・スクリーニング」と称して、待合室にいる乗客をおもむろに拉致(?)し、隅々まで調べる。隣のベンチに座っていたおじさんが唐突に拉致されたこともあれば、乗客名簿から名前を呼んで調べている空港もあった。

 何だかよくわからんけどおそろしいなぁ、と思っていたら、私も1回拉致されてしまった。搭乗のための列に並んでいたら唐突に「こっち来い」と言われ、「こんなギリギリなタイミングで呼ぶなよ!」と思いつつも仕方なく従う。念入りにボディチェックした後、「鞄を開けてもいいか?」と聞かれる。「ダメ」って言ったらどうなるのかな、と思いつつも、「じゃ、飛行機に乗せない」などと言われても困るので許可する。

 10月に日本から戻って来る際、成田の搭乗待合室入り口の荷物チェックも相当念が入っていたが、それ以上。人づてに財布の中まで調べられた人の話を聞いていたが、確かにこの「ランダム・スクリーニング」にひっかかると、財布の中身まで調べられるわ・・・

 運転免許証(写真付き身分証明書)は、チェックインカウンターに始まり、空港によっては搭乗エリアに入る際や手荷物検査時、搭乗時など、何度も提示しなければならない。免許証なんて、失くしたらいやだし、直にポケットに入れている人も少ないだろう。その都度、いちいち鞄から財布を出して、財布のポケットから免許証を出して・・・と、クソ面倒くさい。搭乗時の列なんて、搭乗券と身分証明書をいちいち照らし合わせているもんだから、遅々として進まない。

 私は、「怖い」「不安」「危ない」という理由で飛行機を避けることは絶対にない。逆に、こうした理由で利用者が減って機内がすいたらラッキー♪と思っていたくらいだ。しかしこれでは「あまりに面倒なので」米国内便にはできるだけ乗りたくない、と思ってしまう。感謝祭の4連休、飛行機旅行を避けた人が多かったというのもうなずける。

 コンベンションといい、飛行機といい、映画スタジオの入り口といい、どこもかしこも厳戒態勢。どこかで「(911以来)自由なアメリカが不自由になった」という文を読んだが、まさにその通り・・・


 ニューヨークでは、ワールドトレードセンター(WTC)の崩壊現場にも行った。やはりこの目で見ないことには、事実を事実として認識できない。もっとも、職場も家もWTCからすぐ近い友人ですら、「未だに(WTCがなくなってしまったという)実感がない」と言っていたけれど・・・

 現場に行く直前に、3週間くらい思考能力を失って石になるほどショックな事実を知らされてしまい、普通の精神状態で見ても呆然とするような光景を、すでに呆然とした状態で目にした。

 最初に見えた現場は、墓地越しだった。墓地の柵の間から、手前に並ぶ墓石の向こうに広がる「巨大な墓場」。さらに歩いて行くと、写真や追悼の言葉、ろうそく、花束などが並ぶ、ニュースなどで見慣れた場所にたどり着いた。そこからは、現場がもっとよく見えた。写真を撮っている人が結構いたのが、よく理解できなかった。

 それまで、一度もきれいだと思ったことがなかった、ロックフェラーセンターのクリスマスツリー。今年、初めて、あのツリーをきれいだと思った。

 今年は、電飾を星条旗の色にしたのだと、あらかじめニュースで見て知っていた。近くに寄れば赤と青の電飾を確認できるが、遠目にはよくわからない。単にオレンジのツリーにしか見えない。例年のツリーと今年のツリー、電飾の色のほかに何が違うのか? 電飾の密度が違うのかもしれない。とにかく今年のツリーは素直にきれいだと思った。

 それにしても、12月だというのにニューヨークは実に暖かかった。はっきり言って、これなら朝夕はロサンゼルスのほうが寒い・・・


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