2001.6.11の独り言

 ちょっと前まで(おそらく98年頃まで)、日本のウェブサイトで買い物をしても、そのままクレジットカードで支払えることは稀であった。クレジットカード番号を別途ファックスしろ、なんていうのはマシな方で、多くは代引きや振り込みにしか対応していなかった。

 支払いまで完了できなかったら、インターネットショッピングの意味がないじゃないか!と思った。特に私のような海外在住の者にとって、海外にいながら日本の店で買い物できるのがインターネットショッピングの利点なのに。
(用途は、日本の友人知人家族への贈り物など)

 きっと日本には、クレジットカード番号はファックスでしかやり取りしてはいけないという、法律、もしくは不文律があるのだと思っていた。

 最近では、日米問わず、ほとんどのショッピングサイトでクレジットカード番号の入力を受け付けてくれる。日米とも、大手の銀行ならオンラインバンキングを利用できる。小切手郵送が当たり前であったアメリカの公共料金やクレジットカードの支払いも、多くがインターネットで済ませられるようになってきた。

 それでもやっぱり、最初から最後までインターネットで処理を完結できるサービスは少ない気がする。偶然、この数カ月の間に「せっかくインターネットで利便性、追究してるのに、なんで???」ってなサービスに、続けて遭遇してしまった。

 例1。ニューヨークにある店のサイトから、1000ドル程度の製品を購入した。普通、1000ドルだろうが、2000ドルだろうが、サイトでクレジットカード番号を入れて、店舗側がクレジットカード会社の確認を取れれば、それでOKである。人間が直接連絡してくることなど、まずない。

 この店の場合、発注の数日後、「Verification部門」から「Denial.txt」という心臓に悪い名称のテキストを添付した電子メールが届いた。この書類がまた、超わかりにくい。クレジットカードの使用が拒否されただの、あんたの銀行に確認が取れなかっただの、店側が販売を拒否する理由がいくつも列記されている。「???」と思いながら、よぉ〜〜〜っく見ると、各項目の頭にカッコが着いていた。送られてきた書類は「電話して」という項目の頭のカッコの内部に「X」が記入されていた・・・

 あのさ〜〜〜、紙ならわかるよ。一度に何枚もコピーしておいて、該当する項目にチェックを入れて顧客に送る・・・。しかし、テキストデータなんだからさ、パソコン上のファイルなんだからさ、該当する項目だけメールの本文にコピー&ペーストして送信すれば済むだろ!!! 紙みたいにすべての項目を一覧できるわけじゃないし、ぱっと見て各項目のチェックの有無なんぞ、判別できん! すっげぇわかりにくい上に、誤解を招くっての!!! 店側だって、「該当する項目だけ送信」の方が間違いにくいし、楽だろうに。

 ようやく「注文が拒絶されたわけではない」ということがわかり、とにかく電話をかける。例によって保留でさんざん待たされた挙げ句、「我々のデータベースによると、あんたの電話番号は別人に登録されてる」と言われる・・・

 んなこと、知るかぁ〜〜〜!!! 私はこうしてこの番号から電話してんじゃないか! あんたんとこの電話機、発信人番号表示しないのか?! と文句を言っても埒が開かない。仕方なく言われた通りに電話会社からの請求書をファックスする。

 あんたんとこがどんなにすごいデータベース持ってるのか知らんけど、クレジットカード会社にだって、この電話番号が登録されてるっての! 大体さあ、電話番号が合っていようが間違っていようが、クレジットカード会社が支払いを了解したなら取りっぱぐれはないわけだし、それでいいじゃないか! わざわざ電話して、ファックスまでしなきゃいけないなんて、インターネットショッピングの意味がない!

 さすがユダヤ人(の店だった)、用心深いというか疑い深いというか・・・

 例2。こちらの銀行のオンラインバンキングに、もちろんウェブサイトを通じて申し込んだ。最後に、「受け付け完了の通知、暗証番号ほか、必要なセットを郵送する」と表示された。郵送と電子メール、どっちが紛失の心配少ないと思ってるんだよ?! んなもん、(自動返信システムでも使って)電子メールで送ってくれたらそれでいいっての! それに、どうせ無駄な説明書とか使わない(もしくはダウンロードで済む)ソフトが入ったCD-ROMとか送ってくるんだろ。資源と郵送料、手間賃の無駄!

 例3。富士銀行はもっと不便だった。オンラインバンキングの申込書は、郵送、もしくは持ち込みでないと受け付けてくれない。4月に帰国した際、支店窓口で申し込んだが、サービスを利用するのに必要な書類が、これまた郵送でしか受け取れない。そして、なかなか届かない。なんであんなもんの郵送に、3週間以上もかかるんだよ?!

 結局、必要書類は日本にいる間に届かず。帰米後、実家から転送してもらい、ようやくサイトにアクセスした。初回、パスワードを決めろと言われるのは普通だし、「4桁以上」などという指定はよくある。富士サイバーバンクのパスワードは「英数字を組み合わせて6桁」じゃないといけないんだって。しかも「アルファベットは必ず1文字以上、お入れください」ときた。なんでそこまで細かく指定されなきゃならんのだ?! 普段使ってるパスワード、何種類かあるけど、どれも「英字と数字混在の6桁」じゃないから使えない。毎日のウェブサーフィンで、それこそ数え切れないほどのIDやらパスワードを持たされているんである。富士銀行のためだけに決めたパスワードなんぞ、一生、覚えられないだろう・・・

 例4。ニューヨークにある別の店のサイトから、500ドル程度のお買い物。今度は留守電に「電話して」のメッセージ。電話かけたら、「送り先の住所を確認したい」とのこと。んなもん、サイトで入力しただろ〜が! わざわざ電話で確認せんでもエエわい・・・と思ったけど、住所確認の後、保証期間の延長契約や付属品などはいらないか?と薦められた。この店の場合、住所確認を口実に、他のサービスや製品を売り込みたかったのかもしれない。「ポテトも一緒にいかがですか?」のインターネット版(?)。いいからハンバーガーだけ、とっとと売ってくれよ!


 気が付けば、今年も6月。日本列島の大部分が梅雨のさなかか。

 季節感が乏しく、1年を通じて気温の差が少ないロサンゼルス。花なんて、全種類が一気に咲いても良さそうなものなのに、律儀に自分の順番を待ってから咲いている。

 5月末に近隣でいっせいに開花した薄紫の花。葉があまりない枝を花がぎっしり埋め尽くすところといい、わりと短期間で散ってしまうところといい、普段は目立たないのに実はいろんな場所に生えているところといい、「LAの桜」である。95年の今頃、アメリカに長い友人が「これ、桜だよね」と言っていた。その時は「桜なの?」と聞き返してというか、聞き流して終わった。今年やっと、彼が「桜」と表現していた意味がわかった。言葉でうまく説明できないのだが、とっても「桜」なのである・・・

「LAの桜」は、南アフリカにもたくさんあり、別名「アフリカ桜」と呼ばれているらしい。一般的にそう呼ばれているのか、現地の日本人の間でそう呼ばれているだけなのかは不明。

 日本の桜が春を告げるのに対し、LAの桜は夏を告げるようである。そういえば、最近は朝夕に寒いと感じることもなくなってきた。一晩中、窓を開けていても大丈夫である。

 去年、「LAの夏ってこんなに暑かったっけ?」と思ったのだが、やはり106年間で4番目に暑い夏だったのだそうである。強引に平たく言えば、四半世紀に一度の暑さだったわけだ。さて、今年の夏はどうなりますことやら・・・


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