2001.3.1の独り言

 ちょっと前のことになるが、何年に一度も会わないような妙な兄ちゃんに、数時間のうちに2人も遭遇してしまった。

 その日は友人と、ハリウッドの近くにあるメルローズという繁華街のピザ屋に行った。美味しいと聞き、初めて行ってみた。なるほど、夕食には少し早い半端な時間のわりに栄えている。確かにビザもラビオリも、美味しい。

 有名な店であるせいか、店内で何やらビデオ撮影しているクルーもいた。おっさんと兄ちゃん(ってのも、すごい表現だけど)が会話している場面を、カメラマンが撮影していた。最初、我々が窓際のテーブルに座っていたら、「ごめん、撮影に使うから」と移動させられた。頼み方は丁寧だったし、窓側に執着もしてないので、大して気にもせずに移動した。

 そのうち、インタビュアー役らしい若いほうの出演者が話しかけてきた。兄ちゃん曰く「後で出演してくれない?」

 何を撮影したいのか、何を言えばいいのか、さっぱりわからんけど、我々も安易に「いいよ」と答え、食事を続ける。皿も空になり、そろそろ店を出たいんだけどな・・・というタイミングになって、やっと兄ちゃんとカメラマンがこちらにやってきた。

 この兄ちゃん、細身のおしゃれな感じの黒人で、金髪が奇抜な髪型にセットされている。年齢は30前後か。我々の向かいに座り、カメラが回り始めたら・・・いきなり兄ちゃんが我々に日本語で話し始めた・・・。それまで英語でしゃべってたくせに・・・。顔には出さず、まるでそれが当然のようにこちらも日本語で答えてたけど、内心すっげぇ〜びっくりした。カメラは、結構長い間、回っていた。兄ちゃんのノリにしっかり合わせて受け答える我々は、なかなか優秀は出演者だったと思う。

 撮影後に聞いたところ、この兄ちゃん、福岡の大学に留学していたとか。自分の2本の前歯が少し離れているのを指して「反っ歯」とか言うし、自分の髪型や変わったデザインの時計などを指して「ワタシ、変でしょぉ〜?」と嬉しそうに言ってた。確かに・・・

 この撮影はイギリスのテレビ局に依頼された仕事で、世界中の有名な都市で撮影している、本日はハリウッド編を撮った・・・とのこと。そのうち日本にも撮影に行く予定だそうである。本当かウソか知らないというか、どうでもいいけど、こういう体験は滅多にしないよな。

 数時間後、サンタモニカ近くのバーにて。通りがかりに何となく入った店なのだが、普段は常連しかいない感じ。いかにも内輪で、下手くそなライブ演奏を楽しんでいる。まあエエわい、と、隅のテーブルで飲んでいたら、車椅子の兄ちゃんが近づいてきた。

 バーでたまたま居合わせた人と仲良くなるのは、珍しいことではない。兄ちゃんに話しかけられて、お互い右手を出して握り、軽く引っ張り合う。これもよくあること・・・なのだが・・・ここでいきなりこの兄ちゃん、指相撲を始めた・・・。私も反射的に応じてしまう・・・。もちろん、こういうことは滅多にない。アメリカ人も指相撲をするということを、初めて知った。

 しばし我々としゃべった後、この兄ちゃん、おもむろにポラロイドカメラを取り出し、我々の写真を撮った。さらに懐中電灯まで常備(?)していて、できた写真を照らして見せてくれた。自分も一緒に写るとか、仲良くなった人の写真を集めているとかなら、まだ何となくわかるのだが、彼はこの写真を我々にくれて去っていった。・・・謎の兄ちゃん、その2・・・

 実に妙な夜であった・・・


 なんというか・・・呆れるほど毎日毎日毎日毎日、雨である。確かに冬は雨期だけど、絶対に4年前まで、これほど雨が続くことなんてなかった(友人に聞いたところ、私が留守にしていた4年間にも、こんなことはなかったらしいが)。2月のロサンゼルス、はっきり言って梅雨そのものである。車が手に入り、雨でもでかけられるようになったとはいえ、ここまで降り続くと気分が滅入ってくる。別にアジサイがきれいに咲いてるわけでもないし(???)。

 先日なんぞ、夜の屋外会場でのイベントの取材。ロサンゼルス市から、かなり内陸に入った砂漠地帯が会場だったので、もしかして現地は晴れているのではないかと期待したけどダメだった。カメラは濡れるわ、マイクは濡れるわ、もちろん自分も濡れるわ、寒いわ・・・で、最悪。しかし、私の車に乗せて帰ってきた他誌の記者、3人とも「風邪ひいた」と言っていたが、私はまったく無事である。はっはっは!(勝ち誇ってどうする?!)

 この数年、ロサンゼルスの気候は明らかに変化している。でも、街はまだ(?)雨仕様になっていない。舗装の排水は悪く、駐車場や道路は冠水しまくり。私が直接見ただけでも、レストランやらジムやらオフィスビルやら、いたるところで雨漏りしている。

 それにしても何がすごいって、これだけ毎日雨が続いているのに、室内が少しもじっとりしないのである。洗濯物はちゃんと乾くし、壁の内側に水滴がつくこともない。カビが増殖する気配もない。これだけは、東京の梅雨とはえらい違う。腐っても(???)砂漠気候である。


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