あれは2月上旬のとある夕方。それまで1週間ほど暖かい日が続いていたのに、急に寒くなり、ついでに雨も降った日だった。高速道路の入り口で一時停止したら・・・エンジンが止まった。
去年の4月、ニューヨークで入手したFORDは、買った時からそんな調子だった。売り手もそう言ってたし、わかってて買ったので文句は言えない。しかし、この症状は想像していた以上に鬱陶しい。LAに到着して、1回修理に出した後しばらくは調子が良かったのだが、そのうち元に戻ってしまった。信号待ちなどをしていると、結構な頻度でエンジンが止まってしまう。TEXACOブランドのガソリンとは特に相性が悪く、TEXACOで給油するとテキメンに止まった。寒い季節は特に止まりやすいので、車が停まると同時にブレーキペダルを左足で踏み替えて、右足でアクセルを踏んだりしていた。ごく最近では、車が完全に停まる前にエンジンが止まってしまったりして、もうお手上げ・・・。それでも、エンジンがすぐに再始動してくれるなら、乗れないことはない。買ってから1年も乗れば元が取れた気分になるので、4月になったら買い換えようと思っていた。
・・・ところが、その日はエンジンが全然かからない。インジェクションの問題か、雨だったり急に寒かったことも要因か、かぶってるような感じ。高速道路の入り口で、しばらく立ち往生。遠い昔、キャブの有鉛仕様の走ってると点火時期が変わってきちゃうようなボロ車に乗ってた頃を思い出した。あの車はマニュアルだったからセル使って押しがけできたが、このFORDはオートマなんでそういうわけにもいかない。
かなりしばらくねばって、まだAAA(JAFみたいなもん)会員の期限が切れてなくて良かったなぁ〜、なんて思い始めた頃、どうにかエンジンがかかった。2度とエンジンが止まらないよう、超気を遣いながら、もちろん次の出口で高速を下りてとっとと帰ってきた。
以来、恐ろしくてFORDに乗れなくなってしまった。あの、あせった気分を2度と味わいたくない。特に夜は、変な場所で立ち往生したら命にかかわる。それに、完全に動かなくなっちゃったら引き取ってもらうのにも苦労する。とりあえずこのままそっとしておけば、最後のひとっ走りくらいはしてくれるだろう。
翌日は、友人の車を借りてディーラー巡り。相場をつかんで、買う車種の目星をつける。「ないよりマシだろう」と自転車を持ってきてくれた友人もいて、私の自転車生活が始まった。
7×3の変速機付きで、ママチャリしか乗ったことない私は、非常におののいた。変速自体は簡単にできた(当たり前だって)けど、どういう状況でどうすれば走りやすいとか、未だによぉわからん。同じ距離を歩くより、ずっと速い&ずっと疲れるので、短時間でいい運動になりそう。海沿いを走ったら気持ちいいだろうし、そもそも海まで自転車で行けるじゃん♪・・・と、「これはこれで楽しいかも」モードだったのに・・・
アメリカで初めて自転車で外出した(大げさ)翌日から、天候は一気に下り坂。日中は曇天、時々、小雨。夜になると、それはもう申し訳ないほど律儀に毎日、豪雨。時々、雷。
この時期、毎晩毎晩、ほんっとぉ〜〜〜に雨音がうるさくて不愉快でムカついて、気が狂いそうだった。過去の人生で、タイミング悪く降ってきた雨を呪った回数は、決して人より少なくないと思われる私(要するに雨女)。しかし、雨「音」にこんなにイラついたことはない。ましてや、雨音を聞きたくなくて耳栓をしたなんて、後にも先にもこの時だけだろう。寝ていても気になって、何度も眠りが浅くなり、激しい雨音がまだ続いていることを夢うつつ状態のまま呪う。半分眠ったまま、空にある水がよくなくならないものだ、などと呆れる。
雨期だから仕方ないとは思うけど、どうして自転車しかない時にこうなんだよ! どこにも行けなくて、原稿書きがはかどったり、お金使わずに済んだりしたけどさ。車探しは電話で続行。希望に合う車が入ったら連絡してもらうことにしていた。
ようやく前線が立ち去り(?)、久々に晴れた日。以前から予定されていた飲み会。納車は間に合わなかったけど、まぁ晴れたから自力で行けるわい・・・と、うちから4kmくらい離れた会場まで自転車で出かける。12時頃、店を出て帰ってくる時、凍死しかける・・・
こうして、聞くも涙、語るも涙(???)の日々を乗り越え、ようやく車入手♪ 室内広いし、外観も前のFORDよりきれいだし、当たり前だけどエンジン止まらないし、ホント嬉しい♪ 結局またFORD系のMPVになってしまったのはちょっと悔しいが、ホンダや日産、トヨタのミニバンよりかなり安かったので、まぁ良しとしよう。ちなみに、前のFORDもちゃんと最後のひとっ走りしてくれて、無事に引き取ってもらえた♪ もちろん(?)、もう雨が降ってもムカつかない♪
仕事がらみで、すっごく嫌な気分になった。LAに戻って以来、仕事関係のストレスはほとんどなかったから、こういう気分は随分と久しぶり。
相手だって、別に悪意があるわけじゃない。単にとてつもなく無能なだけなのだ。だから一生懸命、怒る代わりに、相手を哀れむ努力をしている・・・