しかし、たまに妙に小さいものもある。「軽薄短小、小さくて便利♪」ってんじゃなくて、「理不尽に」小さいのである。一例が「郵便受」だ。
アメリカの郵便受は、鍵がないと郵便物を取り出すことはもちろん、入れることすらできない。郵便配達人は、担当地区の郵便受の鍵束をじゃらじゃらと持って配達に出かける。さすがに1つずつ開けていられないので、上部の扉を鍵で開けると何戸分かにまとめてアクセスできるようになっている(この写真の場合、2カ所の蓋を開ければ全戸のスペースにアクセスできる)。ものすごい無駄な労力だと思うが、そうでもしないと爆発物や毒物を郵便受に入れられてしまうのかもしれないし、それに今回は鍵の有無の話ではない。
郵便受のサイズが異様に小さいのである。個別のスペースの内部のサイズは、奥行き10センチ×幅7センチ×開口部の高さ20センチ。本当に手紙しか入らない。雑誌などは丸められて雑に突っ込まれるので、運が悪いと表紙などが破れてしまう。手紙ですら、何通かまとめて届くと取り出す時にひっかかり、下手すると封筒が破れてしまう。ビデオなんて、まったく入らない。もちろん付録CD-ROM付きの雑誌も入らない。配達人の性格によっては、そういう雑誌も無理矢理入れるらしい。付録CD-ROMが割れていた、という友人の話を聞いたことがある。
写真は現在のアパートの郵便受だが、ロサンゼルスで最初に住んだアパートも、このサイズであった。オハイオに住んでいたことのある友人も、当時の郵便受はこのサイズだったと言っていたので、全米共通規格なのだろう。
これだけ土地が広いのに、どうしてそこまで小さい郵便受を作らねばならないのか、まったく理解できない。この小さいスペースに入らないものは、わざわざ管理人に預けたり、共有のポケット(写真では下のスペース)に入っていたりする。その辺の判断は、配達する人によるようである。
いずれにしても、配達人だって、管理人だって、住人だって面倒である。
一体、誰が最初にこんなクソ小さい役立たずのサイズの郵便受を作ったのかよくわからんが、アパート側もこういうの採用するの、やめて欲しい。
もちろん、もっと大きめのサイズの郵便受を備えるアパートだってある。しかし日本では、こんなに小さい郵便受自体が存在しないのではないかと思う。ここまで小さい郵便受を作る意図がまったく理解できない。
(2000.6.7)