「消費者の行動」

 今まで、主に「サービスを提供する側」に対するケチを書いてきた。では消費者はどうなのか? 同じ人間が、ある時は売る側に、ある時は消費者になるのだから、当たり前と言えば当たり前だが、アメリカの消費者の行動もかなり強烈だ。

 商店で商品を買う際、金を払った段階で自分のものになる、かごに入れただけではまだその商品は店のものである、というのが当然だと思う。しかしアメリカの店では、棚から取ったお菓子や飲み物の封を開け、食べかけ状態でレジに持って行く人をよく見かける。もちろん、いい大人が、だ。

 最後には金を払うのだから、盗んでいる訳ではもちろんない。しかし、ガキじゃないんだから、レジで金を払うまでの間くらい我慢できないのか?!

 友人がコンピュータ屋に買った商品を返品しに行った時の話を聞いた。返品コーナーに並んでいる人たちのうち、ハードウェアを持って来ている人の多くは、表情が怒っていたそうだ。不良品だったり、うまく使えなかったりして、さらに返品のために延々と並ばされ、いらいらしているのだろう。

 対して、ソフトウェアを持って並んでいる人は、何故か多くがにこにこしていたそうだ。要するに、買ったソフトを自分でコピーし、適当な理由をつけて返品する。金は戻って来る、ソフトは無料で手に入る、という訳だ。

 売り物をダメにしてしまうこういった行為は、考えようによっては買ったソフトを違法コピーするより質が悪い。しかし、返品する人の言い分が正当かどうか判断するのは困難だ。返品する商品を自宅でコピーしたかどうか、店側が知る術もない。結局、モラルを信じるしかない。

 少し前になるが、日本の大手コンピュータ販売店が北カリフォルニアの店舗を閉めてしまった。後で聞いたところ、この「返品問題」に悩まされ、「やっていられない」と判断したという。現在この店は、小売を行っていない。企業相手の商売に切り替えたそうだ。

 人間って本来、そんなもんなのだろうか? 暗黙の信頼関係を求める方が無理なのだろうか?

(1999.3.21)