しかし日本の切り花と比べ、アメリカの花の寿命は非常に短い。日本ではどんな種類の花でも、最低1週間は楽しめた気がする。花束につぼみが混ざっていれば、咲くのが楽しみだった。アメリカでは、つぼみはまず間違いなく咲く前に枯れる。咲いている花も、すぐに朽ちる。ロス時代は砂漠気候のせいか、などと思っていた。しかし、ニューヨークも同じだった。今までアメリカで、薔薇だろうと百合だろうと水仙だろうと、切り花のつぼみが枯れずに開いたのを見たことがない。
私は、花をもらうとまず茎の下方の葉や小枝を落とし、花瓶の水の中で茎を切り直す。水もたいがいは、汲み置きや湯冷ましを使う。酢を2〜3滴、たらすこともある。日本時代と花の扱いは全く一緒だ。それでも何故かアメリカの花はすぐ枯れる。水が悪いのか、流通過程の花の扱いが悪いのか、花そのものが悪いのか、あるいは日本の花は長持ちするように品種改良されているのか、私には知る由もない。
しかし、これだけは言える。アメリカで花を選ぶときは、絶対に咲いている花を選ぶこと。間違ってもつぼみを選んではいけない。アメリカは花まで「安かろう悪かろう」なのだ。
(原文:98/2/15 加筆訂正:98/11)