「花を買う時は」

 アメリカは花が安い。日本のように薔薇の花束ン万円なんて絶対にしない。花はかなり気軽な贈り物としてやりとりされている。街角には花屋がたくさんある。夜の繁華街や、車が渋滞する信号手前の中央分離帯などでは、あやしげな花売りが1〜2本ずつラッピングした花を売っている。(余談だが、街角で花を売っているのは、黒人や中南米系が多い。しかし、ロス南部の日本人が多い地区の日系のバーには、ナント日本人が花を売りに来る。まるで日本で珍味を売り歩く原理こと統一協会のようだと思っていたら、どうやら本当に原理らしい・・・)

 しかし日本の切り花と比べ、アメリカの花の寿命は非常に短い。日本ではどんな種類の花でも、最低1週間は楽しめた気がする。花束につぼみが混ざっていれば、咲くのが楽しみだった。アメリカでは、つぼみはまず間違いなく咲く前に枯れる。咲いている花も、すぐに朽ちる。ロス時代は砂漠気候のせいか、などと思っていた。しかし、ニューヨークも同じだった。今までアメリカで、薔薇だろうと百合だろうと水仙だろうと、切り花のつぼみが枯れずに開いたのを見たことがない。

 私は、花をもらうとまず茎の下方の葉や小枝を落とし、花瓶の水の中で茎を切り直す。水もたいがいは、汲み置きや湯冷ましを使う。酢を2〜3滴、たらすこともある。日本時代と花の扱いは全く一緒だ。それでも何故かアメリカの花はすぐ枯れる。水が悪いのか、流通過程の花の扱いが悪いのか、花そのものが悪いのか、あるいは日本の花は長持ちするように品種改良されているのか、私には知る由もない。

 しかし、これだけは言える。アメリカで花を選ぶときは、絶対に咲いている花を選ぶこと。間違ってもつぼみを選んではいけない。アメリカは花まで「安かろう悪かろう」なのだ。

(原文:98/2/15 加筆訂正:98/11)