「どっちがヨリ鈍感でしょう?」

 日本人は騒音に鈍感だとよく言われる。スキー場や観光地でテープを切れ間なく流したり、しつこいほどの駅の構内放送や電車の車内放送がそう言わせるのだろう。かつては、ヨーロッパの静かなホテルやレストランなどで、日本人観光客が大声で騒いでひんしゅくを買っている、なんて話も聞いた。

 それは確かにそうなのだが、だからといって(ヨーロッパ人は知らんが)アメリカ人が静かだなんてことは、絶対にない。ほとんどの肉体的点に於いて日本人より鈍感なアメリカ人が、騒音に関してのみ例外なんてことはありえない。

 声の質の違いからか、白人や黒人の声は東洋人よりよく通る。普通に話していても概してうるさい。別に彼らが悪い訳ではないが、時々腹が立ってくる。

 さらに、家電製品のうるささといったら・・・。世界一静かな家電製品を生産する日本では、今時ちょっと考えられないうるささだ。まず、掃除機。吸い込み口が四角くて大きい、カーペット用の物が主流だが、これは泣く子も黙るうるささだ。洗濯機の本体は、未だに鉄板を白く塗ったもの。中の回転槽も鉄なので、もともと消音設計されてない上に輪をかけてうるさい。乾燥機も当然うるさい。これがまた、布地を痛めないための工夫などみじんもない、ただ乾けばよいという強力なシロモノ。ワンサイズ大きい衣料品を買わないと、乾燥機で縮んで着られなくなるというのは常識。

 そして、食器洗浄機にディスポーザー、フードカッターにミキサーにパスタ製造器に・・・台所からの騒音は止めどなく流れる。本当にこんなモン、必要なのか?!

 人のいるところ騒音あり。

(原文:95/11 加筆訂正:98/9)