「クレジットカード顛末記」

 ある程度の年齢になってから渡米した外国人が、まず苦労するのがクレジットカードの取得だ。日本でも同様だが、学生の間に申請すれば比較的簡単に取得できる。それ以外は、クレジットヒストリーという過去の信用がないとなかなかカードを発行してくれない。信用作りのために、現金で買える車をローンで買った友人もいる。特に20代半ば以降に渡米した人間は、当然本国でカードを持っている。「日本ではちゃんと信用もあるのに何で?!」となる。

 私も例外ではなく、最初の2年間はどうしても必要な時だけ仕方なく日本のカードを使っていた。やっとある会社の正社員になった折に勇んで申し込んだが、普通のカードはやっぱりダメ。そこでセキュアドカードという、預金残高が利用限度額になるカードに500ドルの為替を添えて申し込んた。これなら、既に預金してある金額内でカードを使うのだから文句はないだろう。これでしばらく我慢して使っていれば信用もでき、普通のカードも取得できると聞き、ウキウキしながらカードの到着を待っていた。

 ところが、2ヶ月経っても何の音沙汰もない。いくら事務処理の遅いアメリカでもこれは遅すぎる。問い合わせたところ「アメリカ国民じゃないからとっくの昔に拒否されて、為替も送り返した」との返事。さらにいろいろ聞けば、何とアパートの部屋番号を書かずに返送したという。

 ばかやろ〜! 国民じゃなきゃダメならそう申込書に書いておけ! 無駄な時間も期待も浪費せずに済んだのに。しかも、為替というほとんど現金と変わらぬ物を送るのに、なんというズサンさ! うちのアパートなんて100人以上住んでんだぞ。部屋番号無しで届くものか!

 為替の手数料返せ! 500ドルの利息払え! 慰謝料よこせ!

 調べたところ私の紛失した為替は(送り主にも戻らなかった。まあ、郵便物の紛失はよくあることだが)誰も現金化していなかった。500ドルは無事戻って来たが、何か釈然としない・・・ブツブツ。

 その後、日本での信用をもとにカードを発行してくれる会社をやっとみつけ、「もうすぐカードが届くと思います」という電話までもらったのにやはりカードは届かない。心配になって問い合わせたら、カードは速達で送られたが私が不在であった。本来なら不在者票をポストに入れるところだが、物がカードだったので気を利かせて(どこがどう気が利いてるのが全然理解できないが、そう説明された)送り主に戻した。カード会社は、今度は普通便で送り直したので1週間くらいで届くはず、という返事。

 全く、何でこうみんな馬鹿ばっかりなんだ!

 今となっては信用も無事に積み重なり、アメリカのカードも3枚になった。しかし、実はアメックスだけは日本発行のカードを持っていれば、アメリカ発行のカードに切り替えられるそうだ。これから渡米する人は、とりあえずアメックスを作っておくといいかもしれない。

(原文:95/11 加筆訂正:98/9)