「時間に正確な日本人」

 日本人ってとっても几帳面な人種だ(もしかして、既に過去形?)。時間にもとても正確だし、大体みんな腕時計をしている。

 ロスに来たばかりの頃は車を持っていなかったので、毎日本当によく歩いていた。すると、一日に最低3回は通行人に時間を聞かれる。確かに車にはまず時計がついているから、車に乗っている限り腕時計は必要ない。ロスは車社会なので、いつもは車で移動している人がたまたま歩いている時に時間が知りたかったのかなあ、と最初は思っていた。

 しかし、テレビを見てもラジオを聴いても、日本でよくやってる「ピッピッピッポ〜ン」という時報には全く出くわさない。大体、番組の始まる時間からして結構アバウト。その現実に気付いた時は「信じられん」と驚愕した。電話の時刻案内だって「只今何時何分何秒」と1回言って終わり。日本のように時刻を言い続けてくれないから、時計を合わせられない。ついでに、ニューヨーク地区では時刻案内の電話番号すら見あたらない。

 夏時間なんてシステムからして正確な時間が必要のない人たちの考えることで、これは日本人には向いてないから絶対にやらない方がいい。

 日本では、車で移動した場合に「道が混んで遅刻」といったことがある。しかし、車で移動することが少ないマンハッタンでは、地下鉄が遅れまくる。遅刻しても「地下鉄が遅れて」と言えば、絶対に信じてもらえる。あるセミナーに参加した際、主催者は「マンハッタンで開催する場合、必ず10分は遅れて始まる」と言っていた。

 要は、この国じゃあ大多数の人間が正確な時間なんか気にしてないのである。このアバウトさに慣れてしまったら、東京では生活できないかもしれない・・・。

(原文:95/11 加筆訂正:98/9)