「いろんな人種がおります」

 アメリカの大都会にはとにかくいろんな人種が住んでいる。ロスで目立つのは何と言ってもメキシカン。アメリカにいるメキシカンの全てがそうだとは言わないが、やはりロスのような大都会に来る連中は本国で仕事が無くて不法入国してくるのがほとんど。

 念のため。私はロスに住むまでメキシカンに対する偏見は全くなかったし、メキシコにも上流社会があると理屈上は理解している。

 これはそこらにいるメキシカンの話。とにかくうるさい! 集まるのが大好きで、皆声がでかい。さらにギャーギャーと、私には襲われたか気が狂ったかとしか思えないような歓声というか叫び声を年がら年中発している。おまけにメキシカン音楽を大音量でかける。これがまた、全て同じテンポ。非メキシカンには全て同じ曲にしか聞こえないような、何回も聞いてると気が狂いそうになる曲ばかり。

 概ね彼らは大家族で、さらに同じアパートにまとまって住みがちだ。よって、最初に住んでいたアパートの隣がメキシカン屋敷だった私がメキシカン嫌いになるのにそう時間はかからなかった。

 彼らの行動はどう考えても納得できない。例えば、職場にゴミが落ちていたとしよう。第一に、自分で拾えば済む話だ。日本人では見て見ぬフリをするヤツはいても、あるメキシカンのようにわざわざ日本人従業員を呼んできて「ゴミが落ちてる」と教えるようなヤツは、まずいないだろう。日本では社員を辞めさせたい場合、仕事を干す。メキシコでは辞めさせたい社員に大量の仕事を与えるそうだ。

 私を「ひどいヤツ」だと思うなら、一度メキシカンアパートの隣りに住んでみて!

 ロスに来て思いついた「物静かなメキシカンはいるか?」「キムチ嫌いの韓国人はいるか?」という疑問が、かなり長い間頭を離れなかった。「キムチ嫌いの韓国人」については、一応、「漬け物嫌いの日本人」くらいの割合でいるだろう、という結論に達している。

(原文:95/11 加筆訂正:98/9)