2005.6.9の独り言

 ロサンゼルスのダウンタウンというのは、地元の人間はあまり行かない場所である。一応、金融関係を中心とするオフィス街になっているものの、夜は閑散としている。場所によってはホームレスだらけだし、昔よりマシになったとはいえ、治安もあまりよろしくない。仕事やお役所関係など、ダウンタウンでしか片づかない用事がある場合の他は、まず行くことはない。

 とある週末、そんなダウンタウンにちょっとした用事があった。その後、ダウンタウン内のリトル東京と呼ばれるエリアで友人と飲んだ。ちなみにこのリトル東京というのがまた、さびれた温泉街みたいなところなのである。でも、紀伊国屋があったり、映画のラインナップが充実したレンタルビデオ屋があったりするので、私もたまには行くが、他についでがない時にわざわざここを選んで待ち合わせたりはしない。

(余談だけど、日本からの団体旅行客など、何も知らずにリトル東京のホテルに押し込められてて、実に気の毒。日系ホテルが旅行代理店に安い値段を出しているんだろうけど、あんなとこに泊まるよりサンタモニカなどの海沿いに泊まったほうが、すべての面でよっぽどいいし、ロサンゼルスの印象がずっと良くなると思う)

 さんざん飲み食い、さて帰ろうとしたところ・・・友人の車のガラスが割られ、カーステと携帯が盗まれていた・・・。車を停めたのは、路上駐車ではあったけどリトル東京の中心部にほど近い場所だし、時間だって12時前である。それなのに、この有様。こりゃー誰もダウンタウンに寄りつかないよ。リトル東京再開発とかいって、日系企業とか日系人の一部が振興策をいろいろ考えてはいるみたいだけど、普通行かないよ、あんなとこ。

 というか、私の車が無事で良かった。誰もGM純正のカーステなんて盗まないし、車の中に盗まれそうなものも置いていない。盗む価値があるとしたら、車本体ぐらいなものである。これはセキュリティシステムを入れているので、こそ泥にはそうやすやすと盗めない。そうした理由もあるだろうけど、腹いせに傷つけられたり、タイヤに穴開けられたり、ガラス割られたりもしていなくて、ひと安心。

 その数日後、前を走っていた車が白バイに捕まった。後ろから来た白バイに、全開にした私の車の窓のすぐ外でサイレンを鳴らされた時には、心臓が口から飛び出るかと思ったけど、「御用」があったのは前の車で本当に良かった。

 捕まった理由は、おそらく手前の交差点を左折する際のこと。直進レーンが詰まっていたので、その車は相当手前から対向車線を走って左折レーン(交差点の手間で中央側に増えるレーン。日本だったら右折レーン)に入った。しかし実のところ、対向車線を走った距離こそその車の半分ぐらいだったけど、私も同じことをして左折レーンに入っていた。だから私も本当は同罪である。なので、左折を待っている時、斜め後ろに白バイが停まった時は、正直言って青かった。助手席側のミラーにアップで写る白バイを横目でちらちら見つつ、もうこの際思いっきり微笑んじゃおうかな、とも思ったけど、結果的に余計なことはしなくてよかった。

 左折用信号が青になり、我々と一緒に左折してきた白バイは、隣車線の車をあおってどかし、私の真横でサイレンを鳴らして私を追い抜き、前の車を捕まえた。いや本当に心臓に悪い。というか、捕まらなくて本当に良かった。

 そんなこんなで他人の不幸を間近で連発され、なんとなく「実は私ってラッキーかも♪」と、能天気なことを思っている今日この頃なのであった。


 日本の大学を出た中国人女性と、アメリカ生活が長いエクアドル人男性と同席していた時のこと。このエクアドル人、何を思ったか、日本人である私ではなく、かなり日本語ができるとはいえ中国人である彼女に、日本語の「イキイキ(生き生き/活き活き)」の意味を尋ねた。

 彼女は、「皆でお酒を飲む時に・・・」と、日本の一気飲みと、その時のかけ声についての説明を始めた。

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 きっと彼女は日本で、さぞや素敵な大学生活送ったんだろうなー、と確信した。


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