3月から下の階に引っ越して来たヤツが気に入らない。いつもじゃないけど、おもむろにうるさい。いつもじゃない、というのは、ある意味助かるのだが、逆に文句が言いにくいという側面もある。
たまに音楽がうるさい。音というのは真上に響く上、毎年春にはシロアリが大発生するようなボロ木造アパート。こいつが音楽を聴き始めると、こちらの床が振動する。床の上にいるだけで足に振動が伝わって不愉快なので、仕方なく耳栓をしてベッドの上に避難する。まあこれはいつもじゃないし、毎回アルバム1枚分ほど我慢すれば音が止むので、諦めている。
もっとムカつくのが、こいつが頻繁に立てる謎の騒音。重い家具をひきずっているような、ずずずずずっという耳障りな振動&音がしょっちゅう響いてくる。最初は引っ越した直後なので、ああでもないこうでもない、と、家具の移し換えでもしているのかと思った。しかし、引っ越してきて1ヵ月以上経った今でも、このずずずずずっという重低音がおもむろに響いてきてびっくりする。
ここのところは毎朝、この音がする。しかも、私がまだ寝ている時間に。そしてその度に私はびくっとして起きてしまう。音量がうるさいというより、超耳障り、神経に障る、地鳴りか地響きかというような振動付重低音なので、体が敏感に反応してしまうようだ。これはかなり、勘弁してほしい。土曜日曜と続けて朝早くにこの音で起こされた時には、殺意が沸いてきた。平日だって、かなりの確率でまだ私が起きなくてもいい時間に起こされるので、相当ムカつく。
そもそも、一体これは何の音なんだ?! こいつが毎朝(たまに日中や夜も)一体全体なにをやっているのか、起きるたびにベッドを引きずって移動でもしてるのか?! なんでこんなすごい音をそんなに頻繁に立てる必要があるのか、本当に謎である。
もちろん当然無神経なヤツだろうから、台所の戸棚の扉の開け閉めなどの音もたまに響いてくる。普通に閉めたらいいだろうに、なんでいちいちそんなに荒っぽく大きな音を立てながら閉めなきゃいけないのか、理解できない。2〜3日に一度は、どすん!という、重い物を落としたような音も響いてくる。どーゆー生活してんだよ?!
実は隣の部屋の住人も、結構うるさい(幸いなことに棟の端に住んでいるので、隣は片側だけ)。私より前からこのアパートに住んでいる人なので、引っ越してきた時からそういうものだと思って諦めているが、本当に粗雑な人なのだ。
まずドアの開け閉めがうるさい。玄関のドアもトイレのドアも、大きな音を響かせながら開閉する。もっと理解できないのが、トイレのフタ。これをいちいち使用後に、ぱこーーーーーーーんっ!!!!!と、それはそれは大きな音を鳴り響かせながら閉める。フタがちょっと斜めになったところで単にフタから手を放したところで、こんなにすごい音がするだろうか?!と思うほど、激しい音が響いてくる。フタを力いっぱい下に叩きつけるように閉めてるんじゃないの?!と疑いたくなる。
さらにこれがまた、結構な頻度なのだ。いちいち音が響いてくるのでどうしても気になってしまい、ものすごい頻度でトイレに行っているように感じる。自分が1日に何回トイレに行くかなんて、数えたことはないけど、少なくとも間違いなく私より多い。どこか体が悪いんじゃないの?!と余計なお世話なことまで考えてしまう。
いっそフタなんか開けっ放しにしておけばいいのに、と思うのだが、今日も隣人は金属バットのホームランのような景気のいい(?)音を立てながら、トイレのフタを閉める。
下の階のヤツは、ちょっと我慢してたらすぐまたどこかへ引っ越して行きそうな気がするけど(っていうか、私がノイローゼになる前に今すぐにでもどっかに消えてほしい・・・)、隣の人は多分、これからもずーーーーーっとこのアパートに住み続けるんだろうな。
うちのアパート、2002年からは毎年3%ずつ家賃が上がる仕組みになっちゃったし(物価も給与水準も毎年3%も上がってないのに、なんで家賃だけ上がるんだよ?!)、んじゃ私が引っ越すか、とも思うけど、なによりまず面倒くさい。アパートの立地条件も、私の部屋の位置も、管理人さんも気に入ってるし、結局私も引っ越さないで、ずーーーーーっとこのアパートに住み続けるんだろうな。
まあなにはともあれ、間違ってもこういうがさつで無神経な人々とはお近づきになりたくないもんだ。
前回の独り言で書いたニューヨークの友人が、7日の早朝に永眠した。死んだ人の心はどこへいってしまうのだろう、なんて、子どもみたいなことをぼおっと考えた。
亡くなった翌日、ニューヨーク在住の共通の友人が、何かできることはないかと彼女の家を訪れた帰り。最寄りの地下鉄駅のホームのベンチに座り、買ったばかりのドーナッツを1コ半も無意識にせっせと口に運んでいたという。泣きながらドーナッツを食べ続けている姿はあまりに異様で、ふと気付いたら、居合わせたおばさんがびっくりした顔で見つめていたそうだ。
その様子を想像したら、おかしくなって泣きながら笑って、悲しくなって笑いながら泣いた。