☆ 夕凪の街 桜の国

監督:佐々部清
出演:田中麗奈
   麻生久美子
   藤村志保
   吉沢悠

 吉沢悠が見たくて、どんな内容なのか全く知らずに借りた作品。いきなりずっしりと重いテーマに面食らいつつ、「麻生久美子は苦手なんだよなぁ」などと極力冷静に感情を入れずに見る努力をしていたのだが、前半部分の終了間際の主人公(前半部分のヒロイン)の独白に、もうこらえきれずに涙がこぼれる。原作者か脚本家か知らないが、こんなに心に突き刺さる台詞を考えた人は、不謹慎な表現かもしれないけれど本当に素晴らしい。前半部分だけでいいからアメリカの全兵士に見せたら、志気が落ちまくって2度と侵略戦争などできなくなるかもしれない。

 前半部分では麻生久美子のわざとらしい演技に白けたり(シリアスな部分の演技はいいのだが、日常の部分が実にわざとらしくて白ける)、前半と後半のギャップにとまどったりしつつも、最後まで見終えて心から良い作品だと思えた。まったくの偶然ながら、この作品を見られて本当に良かった。じいちゃんがどうして家族にちゃんと説明しなかったのか、といった不自然さ、強引さはあるものの、こういうストーリーに持っていくためには仕方がなかったと目をつぶろう。「幸せ=結婚して家族を作ること」と決めつけているところも少し気になったが、被爆による障害が子どもに遺伝するかどうかということもテーマの1つだから仕方がないか。

 ところで「桜の町」ってどこだろう。いきなり馴染みの西武新宿線が出てきたので考えてしまった。でも、日本全国、自分が知る限りどこに行っても桜はたくさんある。日本そのものが「桜の国」で、すべての町が「桜の町」だということなんだろうな、きっと。

 最後にとってつけたようでなんだが、久しぶりに見たお目当ての吉沢悠、やっぱりすごく好きだ〜。

鑑賞日:2012年11月10日
製作:2007年・日本


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