監督:ARI FOLMAN
声の出演:RON BEN-YISHAI
RONNY DAYAG
ARI FOLMAN
DROR HARAZI
イスラエルの良心とでもいうべき作品。アカデミー賞で、アニメーション映画として初めて外国語作品賞にノミネートされた作品だけのことはある。全体に暗い画面が印象的だ。
この監督のように、もちろんイスラエルにだってまっとうな人間はいる。日頃、イスラエルなんて無くなってしまえばいいと言っている私だって、どんな国地域集団にもまともな人間がいるということは重々承知している。ただ、こうしたまともな人間が主流になったり、さらに政権を担うケースは、非常に少ない。いや、ほとんどない。
帰還兵のトラウマを描いた作品はたくさんある。(内戦を含む)戦争は、侵略される側はもちろん、前線に送られる一般の兵士にとっても耐え難い悲劇なのだ。それでも今なお、アメリカもイスラエルも(他のいくつもの国も)同じような蛮行を続けている。
日本はとりあえず、第二次世界大戦後はこうした蛮行に加わらずに済んでいる。その事実の有り難さを、国民の1人ひとりが思い知るべきだ。改憲などと言っている愚か者は、普通の人間にとって他人を殺すというのがどれほど苦しいことなのか、想像もつかないのだ。軍隊は誰も守らない。ただ目の前にあるものを、物も人間(性)も、壊すのみ。
鑑賞日:2009年6月26日
製作:2008年・イスラエル/フランス/ドイツ