☆ 帝銀事件 死刑囚

監督:熊井啓
出演:信欽三
   内藤武敏
   井上昭文
   笹森礼子

 こんな昔に、こんな社会派の意欲作が作られていたことに感動。(逆に今のほうが社会派作品は作りにくいのかもね。安倍に代表される極右政治家の横やりが凄いから)

 帝銀事件が冤罪であることは、今では暗黙の了解というか、この事件を知るほとんどの人が冤罪だと思っているだろう。そして事件そのものが、どんどん世の中から忘れ去られている。

 でも忘れてもらっちゃ困るんだよ。「詐欺と殺人じゃ、犯罪の種類が全然違う」って、和歌山毒物カレー事件の林眞須美さんそのものだろ。北海道恵庭の女性会社員殺人事件にしても、筋弛緩剤連続殺人事件にしても、冤罪であることが誰の目にも明らかなのに有罪のまま。再審もなかなか認められない。何十年経っても、あまりに変わっていない警察、検察、裁判に、めまいを覚える。

 被疑者の家族に対する嫌がらせにしても、人間という生き物の醜い性質が何十年経っても感動するほど変わっていないことに、愕然とする。いやもう、太古の昔から、原始人の頃から、人間というのはそういう生き物だったんだろうけど。

 戦後間もない東京の景色が興味深い。事件現場になった銀行にしても、まるで普通の家のような外観に驚いた。なんとなく勝手に、銀座のオフィスビルみたいな現場を想像していたけど、(当時でも銀座あたりは随分と雰囲気が違ったと思うけど)考えてみれば当時の現場はただの住宅街なんだもんね。

 こうした作品が自宅で気軽に見られる、アマゾンプライムに感謝。

鑑賞日:2022年2月11日
製作:1964年・日本


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