監督:チャン・イーモウ
日本編監督:降旗康男
出演:高倉健
寺島しのぶ
チュー・リン
ジャン・ウェン
高倉健演じる老いた父親が中国に行ってからのエピソードは、なかなか面白いし、ガイドから役人まで出てくるのはいい人ばかりで心が温まる。しかし、中国に渡るまでがあまりに唐突で、しばらくついて行けなかった。息子がまったく出てこないことや、親子断絶の原因が詳しく語られないこと、息子の妻が親切なんだろうけど妙に鬱陶しいことなどから、作品自体への感情移入が困難になってしまう。
中国の荘厳な大自然は見事としか言いようがない。高倉健と少年の別れの場面も泣ける。
ただ、仮面劇の役者が、自ら何年もほったらかしにしていた息子のことで今さらどうしてそんなに感傷的になるのかがよく分からない。ただの田舎のじいさんのはずの高倉健が、AV機器の扱いに妙に手慣れていて準備万端なのにも違和感(撮影が目的で旅に出たにしても、準備良過ぎ)。普通の漁師らしいのにお金にも困っていなさそうだし、なんかこう全体にリアリティがないんだよなぁ。
あと一番「あり得ない!」と思ったのは、刑務所か、SF映画に出てくる宇宙船の廊下か?!というような病院の廊下。あれ、あり得ないでしょ? 日本の一体どこにあんな廊下の病院があるのか?! 普通の日本の病院で撮影できなかったの???
とまあ、突っ込みどころ満載ではあるけれど、いい映画だとは思う。すごく優しい気持ちになるし、私自身が身内の死という話題に敏感なタイミングでもあったしね。長さもちょうどいい。
ところで、中国の出演者の役名と名前がみんな一緒なんだけど、もしかしてみんな素人??? みんな、滅茶苦茶いい味出しまくってたけど、あれがもし素(す)だったとしたら、恐るべし・・・
鑑賞日:2017年8月7日
製作:2005年・日本/中国