監督:西川美和
出演:役所広司
仲野太賀
六角精児
橋爪功
役所広司に当て書きしたかのような作品。原案となる書籍があるそうだが、監督兼脚本の西川美和が、役所広司をイメージしながら練り上げた作品だとしか思えない。
刑務所を出た初老の男が、普通の世界で普通に生きようとあがきもがき悩む。大筋は割とありがちなお話ではあるが、陰と陽のさじ加減が絶妙。甘過ぎず、しかしつら過ぎもせず、決してシラけさせない。ほどよいバランスで泣かせてくれる。
芸達者なベテラン役者たちが周りを固めているが、役所広司と仲野太賀の繊細な演技が特に素晴らしい。ほぼすべてにおいて対照的な2人が、徐々に気持ちを通わせていく様に、心ゆさぶられる。終盤の仲野太賀の熱演に、号泣必至。
ひとつだけ、長澤まさみの「無駄使い」が少し気になった。
鑑賞日:2021年12月10日
製作:2020年・日本