監督:SAM MENDES
出演:KATE WINSLET
LEONARDO DICAPRIO
MICHAEL SHANNON
KATHY BATES
予想外の展開に「え〜? え〜? え〜?」と思っているうちに、どんどんお話が進み、「マジで〜?」ってな結末を迎えてしまった。なんとも救いのないお話である。
かつて思い描いた未来の自分と実際になれた自分とのギャップに「こんなハズじゃなかった」と思い悩むのは、人によってはよくあることだろう。しかしこの妻は、自分の才能のなさを棚に上げて一人でイライラ。一生懸命なぐさめようとする夫に八つ当たり。あんまり共感できないなぁ。夫の外での行動もほめられたものではないが、妻子に対する態度は理想的と言って差し支えないレベルなのに。挙げ句にパリに行けばなんとかなる、自分が働く、なんて、なんちゅー甘っちょろい考え! 給料のいい職自体はあるかもしれないが、なんの経験もない主婦なんか誰が雇うか!
もちろん主役夫妻の迫真の演技は素晴らしいし、裏の家のしがない(?)夫妻や不動産屋夫妻など、もっとずっと普通の夫妻を演じる脇役たちも見事だ。精神を病んでいるゆえにズバズバと本質を突いたことを言う不動産屋の息子の存在も、物語全体の良いスパイスになっている。それでもどうにも、すっきりしない。
一番気になったのは、子どもが年がら年中都合良く留守で、子どもの存在感が不自然に薄かったこと。妻にとって、間違ってできちゃった子どもなんか、どうでもいいのかね? 「子どものために」引っ越すのが普通の親なのに、こんな親に振り回される子どもたちが本当に気の毒だ。最後の最後に電話で、言い訳のように子どもたちに「愛してる」と伝えようとして、でも結局言えずに終わる、これがすべてを象徴している。
今見ると、50年代って一体全体どういう時代よ?!という印象もぬぐえない。どいつもこいつも時も場所も問わずに常にタバコをスパスパ。そんなの今だったら、下層階級だということを示す行動なのに。もっと驚いたのが、「あんなこと」を自宅でするのが珍しくなかったらしいこと。そのための道具が普通にそこいらで売っていて、それを一目見た夫も何に使うのかすぐに分かるぐらいよくある行為だったなんて、驚愕である。
それにしても、「燃え尽きるまで」って邦題(サブタイトル?)、考えたヤツの顔が見たい。これほど内容にそぐわないタイトルも珍しい。
しっかし、図らずも立て続けに倦怠期夫婦の映画を見ちまったよ・・・。しかも両方とも全然感情移入できないし。はぁ・・・
鑑賞日:2009年11月17日
製作:2008年・アメリカ/イギリス