☆ 楽園

監督:瀬々敬久
出演:杉咲花
   綾野剛
   佐藤浩市
   村上虹郎

 サスペンスという紹介だったけれど、これは社会派ドラマだな。綾野剛と佐藤浩市の迫真の演技に圧倒される。見終わった後、いつまでも胸くそが悪いままなので、すっきりしたい人は見ないほうがいい。

 一見のどかな田園風景が広がる長野県の某所。少女失踪事件が起こった町と、そのさらに奥の限界集落の話が、並行して、時代もめまぐるしく前後しながら描かれていく。真剣に、時々想像力も働かせながら一生懸命見ていないと、置いていかれそうになる。もっと分かりやすい構成にしたほうが、見ているほうは感情移入できて良かった気がする。とってつけたような「三つの章分け」も、意味がよく分からないからいらない。

 主人公の少女は、最後にかすかな希望の光を見るものの、限界集落の話のほうは救いがなくて非常に後味が悪い。実際、数年前にこういう事件が起こったよね。限界集落に親の世話をしに帰ってきた息子が、親が亡くなったらとっとと町に戻れば良かったのにそのまま限界集落にいてしまったもので、古くから住んでるじじいどもに強烈な嫌がらせをされ続け・・・。

 本当に田舎って反吐が出る。間違っても私は住まない。自分が長く生きた、しかも男だというだけで偉いと思っていて、後から来た人間を見下し、自分より先に行こうとする相手にはひたすら嫌がらせをする、じじい(おっさん)という生き物にも反吐が出る。

 ホントこの映画、柄本明演じる被害者の祖父を含めて、吐き気がするようなじじいどもしか出てこないな(佐藤浩市は一応、まだ「若手」で「じじい」じゃないということで)。孫の失踪に主人公はまったく責任ないのに、年端もいかない少女を責めるなんて人間のクズだな。

鑑賞日:2020年5月30日
製作:2019年・日本


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