監督:STEVEN SPIELBERG
出演:TOM HANKS
MATT DAMON
EDWARD BURNS
冒頭シーンがあまりに強烈である。一体あれは何なんだ?! ああいうのも作戦というのか?! 崖から海に飛び込んで集団自殺するネズミよろしく、一斉射撃の雨あられの中、海に飛び込んで死んでいく兵士たち。それでも数がいれば何割かは生き残って、そのうちの何割かは反撃して、そのうち敵も力果てて死んでいき、結果、何人死のうと上陸作戦成功かい?! もう、愚かさの極致である。
さらに柱となるストーリーが愚の骨頂。4人兄弟のうち3人が戦死したから、残りの1人を生きて家に戻すために捜し出せときた。本当にそんな頭のおかしい指令を出したヤツがいたとは思えないが、とにかく、その1人を捜すために8人もが出かけていくというお話である。どのみち戦場だ。捜索に行こうと行くまいと、明日をも知れぬ命に変わりはないだろうが・・・。
本当に愚かな話だが、見る価値がないかというと、まったく逆。吐き気がするほど残酷な戦闘シーン、ナンセンスな指令に怒る兵士たち、個性ある登場人物が織りなすドラマ、すべての映像に厚みがあって素晴らしい。
作り手の意図は知らないが、私には最高の反戦映画に思えた。戦争というものがいかに愚かであるか、本当によくわかる。
鑑賞日:1999年9月11日
製作:1998年・アメリカ