監督：早川千絵
出演：倍賞千恵子
　　　磯村勇斗
　　　STEFANIE ARIANNE
　　　河合優実

　なんとも身につまされて、苦しくなる。ついつい油断して（？）見始めてしまったものの、還暦目前の自分が見るには内容がつら過ぎた。孤独死してしまった母のことも頭をよぎったり、とにかく見ていて苦しくて、涙が止まらない。

　名優たちの抑えた演技が、見る者の心を容赦なく揺さぶってくる。

　この映画が描いているのは老人問題ではなく貧困問題だ、という指摘を散見するが、それはそうかもしれない。強いて言えば「貧しい老人」の問題か。

　ただ、終盤で少し趣が変わり、現実に引き戻されるというか、目が覚めてくる。最後10分は、賛否両論だろう。磯村勇斗も倍賞千恵子も、私から見ると行動が謎。特に磯村勇斗は何が目的だったのかよく分からない。

　いずれにしても、人間とは本当に面倒くさい生き物であるな・・・。

　映画の内容とは関係ないのだが、年老いた倍賞千恵子を見ながら、猪木さんの最期のことを何度も思った。（妹さんのほうだけど）倍賞美津子さんに逢いたかっただろうな、お子さんたちに逢いたかっただろうな・・・。

　最後に一言言わせてもらえば、頭がしっかりしている人は年齢に関係なく生きる価値があり、逆にいろんな意味で頭がダメな人は年齢に関係なく安楽死でいいと、あくまで個人的には思う。

鑑賞日：2024年10月16日
製作：2022年・日本／フランス／フィリピン／カタール