監督:内田英治
出演:草なぎ剛
服部樹咲
真飛聖
上野鈴華
見終わった後、しばらく固まってしまって動けなかった。本当はもっと早く見たかったのだが、いい作品らしいからちゃんと見よう、と、身構えてしまって、なかなか見始められなかった。実際に素晴らしい作品だったし、もっと早く見れば良かった。
草なぎ剛は評判通り、鬼気迫る演技が素晴らしい。その草なぎ剛と堂々と渡り合う、新人の服部樹咲がなんともすごい。恵まれた体格やバレエのうまさに加え、新人とは思えない存在感(小さい頃からバレエで大舞台を踏んでいるせいか)や無言の演技の説得力に圧倒される。
この二人がぶつかり合い、傷つけ合い、慈しみ合い、思い合う姿に、何度も何度も泣かされた。二人の圧倒的な表現力に、ただ二人が見つめ合っているだけでも想いが画面からあふれて押し寄せてきて、つらくて苦しくて、愛おしくて、涙が止まらなくなる。
しつこく説明しない、細切れみたいな淡々とした演出も、二人の演技に合っていて良かった。
効果的に入るピアノの演奏がまた、涙を誘う。
バレエ仲間を演じた上野鈴華も、顔が可愛いし、なかなかの存在感。屋上での服部樹咲とのシーンは、かなりスリリング。
ぶっちゃけ、いくら母親が育児放棄したからって、年頃の娘を一人暮らしの男(親戚には性同一性障害をカミングアウトしていなかった設定なので)に預けるなんてあり得ないでしょう?と思ったのだが、すぐにそんなことはどうでも良くなってしまった。
鑑賞日:2022年1月19日
製作:2020年・日本