監督:崔洋一
出演:萩原聖人
名取裕子
中井貴一
なんとも悲しい話である。
ジャンルとしてはサスペンスだと思うので「悲しい」というのも変かもしれないが、私はどうにも悲しくて寂しい話に感じてしまった。萩原演じる青年も、名取演じる看護婦も、中井演じる刑事も、暗い過去を持つお偉いサンたちも、結局みんな孤独なんである。
最初から場面がぽんぽん飛ぶので、真剣に見ていないとわからない。さらに、過去と現在、いろいろな人のお話が交錯し、「一体何がどう繋がるのだろうか」とのめり込んでしまう。かなり長い作品だが、まったく飽きさせない。
ただし最後まで見ていても、結局、よくわからない部分が多々あったりする。普通だったら見た後で消化不良な気分になって、誰かに「あれって、○×なんだよね?」と同意を求めたくなってしまいそうである。もっと説明的部分を長くできたはずなのに、胸が苦しくなるような青年と看護婦の切ない愛に多くの場面を割いている。
不明な部分が気にならないくらい、何やら「寂しい余韻」に浸ってしまった。
鑑賞日:1999年8月17日
製作:1995年・日本