監督:FLORIAN HENCKEL VON DONNERSMARCK
出演:ULRICH MUHE
SEBASTIAN KOCH
MARTINA GEDECK
大きな動きがある作品ではないのに、2時間20分もの長い間、まったく飽きることなく見入ってしまった。俳優も映像も地味なのに、不思議と長さを感じさせない。
それまでも同様な仕事を続けてきたであろう秘密警察大尉が、どうしてこの脚本家に限って見逃す気になったのか、その辺りがちょっと疑問だが、映画全体の良さを損ねるほどの問題ではない。おそらく根が「善き人」だったのだ。たまたま脚本家を見張っているうちに、蓄積した良心の呵責に耐えられなくなったのだろう。
ULRICH MUHEは地味な顔立ちと抑えた演技ながら、実に素晴らしい。静かな作品で、泣くこともないだろうと思ったのだが、最後の最後にほろりとさせられてしまった。原題や英語タイトルより、「善き人のためのソナタ」という邦題のほうが作品に合っている。
それにしても旧東ドイツ(に限らないだろうけど)って、本当に無駄なことにものすごい労力を使っていたんだなぁ。どこの国も大なり小なり似たようなこと(=御上に逆らう市民の監視)はしていると思うけど、思想を取り締まるなんて本当に馬鹿げている。
鑑賞日:2009年6月30日
製作:2006年・ドイツ