監督:JONATHAN DAYTON
VALERIE FARIS
出演:ABIGAIL BRESLIN
GREG KINNEAR
TONI COLLETTE
PAUL DANO
コメディだということであまり興味がなかったのだが、あちらこちらで目にする評価がいずれも高い。そこで見てみることに。・・・確かに面白い。誰かが「この映画を嫌いという人はいないのでは?」と書いていたのにもうなずける。
アリゾナの片田舎から末娘の美少女コンテスト出場のために、おんぼろバン(VWバス)でロサンゼルスに向かう家族。しかもその構成がすごい。ヘロイン常習で毒舌のエロエロじいちゃん(でも孫娘には優しい)、ゲイで自殺未遂をした伯父、独自の成功理論を振りかざし負け犬を軽蔑しているくせに自分が負け犬になりそうな父、一生懸命家族をまとめようとする母、一切口をきかない息子、そしてそして、トンボ眼鏡に太めのお腹の末娘。
登場人物の関係もストーリーも分かりやすく、変なところで観客にエネルギーを浪費させない。道中、バンのクラッチが壊れたあたりから滅茶苦茶面白くなってきて、笑いの連続。そして家族みんなの一生懸命さに、なぜかそのうち泣けてくるから不思議。
終盤の美少女コンテストのシーンはあまりに醜悪で、着飾って審査員にこびを売るバービー人形みたいな少女たちは本当に薄気味悪くて痛々しい。庭木よろしく見事に毛を刈り込まれたプードルや、着たくもない服などをごてごてと着せられた愛玩犬を思い出す。ごくごく「素」な我らが主人公のほうが余程可愛く見えるわい。大爆笑のクライマックス、のハズの、我らが主人公のダンスの場面では逆になんだか涙が出そうになってしまった。
家族それぞれ、本当にいい味出していて、一癖も二癖もあって扱いにくいけれど、でも本当は家族思いのいい人ばかり。たくさん笑えて、社会風刺も効いていて、見終わった後で暖かい気持ちになれる、素晴らしい作品。
鑑賞日:2007年5月3日
製作:2006年・アメリカ