☆ 凶悪

監督:白石和彌
出演:山田孝之
   ピエール瀧
   リリー・フランキー
   池脇千鶴

 作品の広報に使われていた写真から、勝手に「凶悪」なのは山田孝之かと思っていたら(彼はそういう役が多いし)、全然違った。ま、ピエール瀧がアップのポスター作ったって誰も観に行かないだろうから、当然か・・・

 かなりえぐい描写が多く、相当にヘビーな感じ。やくざ同士の殺し合いならまだしも、単なる弱い物いじめ、虐待の映像は、見ているのが結構つらい。

 ピエール瀧の風貌がまた、なんとも微妙というか、どうにも嫌悪感をもよおしてしまって、えぐさが増す。一番登場シーンが多いんだから、宇梶剛士みたく迫力あるイケメンにしてみるとか、逆に「アウトレイジ ビヨンド」の塩見三省みたいな超悪人顔にしてみるとか、キャスティングがもうちょっとなんとかならなかったのかと思うけど、でもそれだと頭(かしら)みたいに見えちゃって、「子分はいるけどトップにはなれない」中途半端な役にそぐわないんだろうな。で、結局あの中途半端な顔・・・。さらにその妻役もかなりえぐい風貌だし、その他、見事なまでにさえない風貌の人々が暗い役でたくさん登場して、それがまた妙にリアルでえぐさ倍増。

 しっかし、リリー・フランキーはすっかり役者だなあ。例の大ヒットしたマザコン本が大嫌いなので、リリー・フランキー本人もかなり嫌いなのだが、ただ役者としての実力はなかなかのものだと認めざるを得ない。

 でもって、正義を貫いているフリをして現実から目をそらし、巨悪を追いつめているのだからと自分に言い聞かせて目の前の家族をないがしろにする、実は現実逃避していただけだった弱い男のお話・・・ということで、いいのかな。

鑑賞日:2014年11月5日
製作:2013年・日本


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