監督:黒沢清
出演:佐藤健
綾瀬はるか
中谷美紀
この作品、映画公開時のニュースを見て変わったタイトルが印象に残り、さらに私の大好きな綾瀬はるかと佐藤健が出演しているということで漠然と見てみたいと思っていた。それが図書館で原作本を見つけ、思わず借りて読んで頭の中が「???」になってしまったことから、漠然とではなく、非常に映画を見てみたいと思うようになった。やはり綾瀬はるかは主人公の漫画家の役だろうけれど、原作では主人公は美人でもモテる女でもなさそうだし、恋人もいなかった。ということは、佐藤健は原作にない役? それにしても、こんなに分かりにくい話を映画化したら、どうなっちゃうんだろう。などなど、興味は尽きない。
ところが・・・である。監督は、私が嫌いな黒沢清であることに気づいてかなりテンションが下がる。それにしてもまあ、どのみち原作もかなり不可解なんだし、こういう原作のほうがこの監督には合っているかも・・・と思い直して、やっぱり見ることにする。
さてさて、見てびっくり。黒沢清監督とは思えない分かりやすさと、すっきりとした終わり方。原作は、原作というより原案という程度の扱いで、原作よりはるかに分かりやすい。登場人物も大幅に変わっているので、原作を読んでいてもネタバレの心配なし。映画として実にきれいにまとまった、まったく別物の作品になっていて、これが黒沢清監督作品なのかと本当に驚いた。こんな嬉しい誤算なら、大歓迎。
途中、ちょっとホラーな感じを織り交ぜながら(ってか、中谷美紀、マジ怖いし)、現実感と非現実感のバランスも適度。あり得ない映像も、意識の中での出来事ということで、「確かにこんな夢、見るよね」と納得できてしまう。
テレビ局製作のせいか、無駄に豪華なキャストだったりもしていたな。
なんにしても、監督による先入観を持たずに、「まずは見てみろ」ってな作品でありました。
鑑賞日:2014年6月21日
製作:2013年・日本