☆ いのちスケッチ

監督:瀬木直貴
出演:佐藤寛太
   藤本泉
   武田鉄矢
   渡辺美佐子

「延命動物園」という名前が、まずスゴいな。なんだかなぁ。延命すりゃいいってもんじゃないっしょ・・・。

 大筋は非常にいいお話。なのだが、映画としての完成度には疑問符が付く。テンポが悪いし、全体に地味。「動物」という描きたい対象がはっきり存在しているのに、あのテンポの悪さはないでしょう。紀行物じゃないんだから。

 初登場の時だけ園長がやたらと忙しそうにしてるけど、その後は園長もスタッフも獣医も皆、実にのんびりやってる。スタッフがあんなに暇そうな動物園なんて、ないと思う。

「動物ファースト」を目指す動物園というのは素晴らしいと思うけど、獣医がひたすら理想を語るだけ。映像的には「麻酔なしのライオンの採血」のみって、日本初とは言っていたし、業界の人にとってはすごいことなのかもしれないけど、一般大衆を相手にした映画でそれは地味過ぎるでしょう。動物映画なのに、動物が絵になるシーンがほとんどない(景色はいいんだけどねえ)。

 モルモットが8歳で死んだ(8歳まで生きた)ら、この上ない大往生でしょうに、わざわざ解剖する意味も分からん。そんなに暇なの? 獣医が自分の経験値や技術を上げるため、文字通り「モルモット」にしてるとしか思えない。ってか、見せ場がモルモットって、どんだけ地味よ。(もちろん可愛いんだけね)

 そもそも主人公からして、いつも眠そうな顔して、超地味。お目当ての塩野瑛久は、一瞬しか出てこなかったし・・・。

 臨月の飼育員さんに至っては、登場する必要性がまったくない。動物の出産シーンでも入れてくれたほうが、百万倍良かった。

 認知症のおばあちゃんの話も、主人公と美人獣医さんを繋いでいるだけで、必然性がない。もっと動物の話に絞ったほうがいい。動物園の話なのに、動物の登場が少な過ぎ!

 繰り返しになるが、あらすじはとってもいいお話。監督が悪いのか、脚本が悪いのか・・・。

鑑賞日:2021年5月1日
製作:2019年・日本


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