☆ 彼らが本気で編むときは、

監督:荻上直子
出演:生田斗真
   桐谷健太
   柿原りんか
   込江海翔

「LGBT」差別に育児放棄、老人介護、学校でのいじめと、社会問題てんこ盛りの作品。こういった内容の作品であるとはまったく知らずに「タイトルに『編む』ってあるから編集者の話かな?」ぐらいの感じで見始めたもんで、最初は面食らった。

 生田斗真の作品を見るのは、これがたったの2作目。1作目(秘密 THE TOP SECRET)は本当にどうでもいい、誰にでもできそうな役柄だったのだが、これは全く違う。決して誰にでもはできない、実に難しい役どころを非常に自然に演じていて、私の中の生田斗真の評価が一気にトップクラスに躍り出た。

 桐谷健太もいつもの自己主張バリバリ自信過剰キャラを封印し、地味に徹して好演している。

 柿原りんか、込江海翔の両子役もすごく良かったけど、生田斗真の少年時代を演じた子役も良かったな。中学生にもなって、男女に関わらず、母親の目の前で服脱がねーよ、と突っ込みたくはなったけど・・・

 家族を捨てて愛人のところに走る父親なんて世の中に掃いて捨てるほどいる。家族を捨てる母親より圧倒的に多いハズなのに、「父親である前に男だ」とか「男を選んだ」などとは決して言わない。「女だ」とか「女を選んだ」とか、「女」という言葉は実に不愉快な「侮蔑用語」である。

 まあ男とか女とかいう以前に、自分の子どもすら守れない大人なんて生きる価値ないが。その点、「倫子の母」はデリカシーがなくてうざいけれど、地球が滅びようとも世界中を敵に回そうとも自分の子どもだけは絶対に守る、立派である。残念ながら「カイの母」みたいな人間のほうが圧倒的に多いけれど。

 どうでもいいけど、どうして筒状の物を編むのに棒針編みなの? 普通、かぎ針編みでしょう? 両端を綴じる作品なら、なおさらかぎ針編みが便利だ。あるいは、筒状に編む専用の、輪にできる柔らかい棒針の両端で編む方法もあるが、間違っても普通の2本の棒針でなんか編まない。2本の棒針編みのほうが映像として見栄えがするのは分かるし、「編み物=棒針編み」という世間一般のイメージも分かるけど、あまりに不自然。

鑑賞日:2017年10月4日
製作:2017年・日本


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