監督:佐々部清
出演:寺尾聰
柴田恭兵
伊原剛志
鶴田真由
若年性アルツハイマーに冒された妻に乞われ、彼女を絞殺した元警部。殺してから自首するまでの2日間に何をしていたのか、頑なに語ろうとしない。
人は誰のために生きるのか? 命の意味とは? ずっしりと重いテーマを、名優たちが重厚に演じる。寺尾聰はもちろん名演しているんだけど、樹木希林がさらに素晴らしい。訳がわからなくなるほどに様々な立場の数多くの登場人物が出てくる中、決して出番は多くないものの、実に重要な役割をこれ以上ないほど見事に演じている。
登場人物の誰もがそれぞれの悩みを抱え、人生の意味を問いながら生きている。下手をすると散漫になってしまいそうなストーリーを、どうにかギリギリのところで1つの作品にまとめている。
登場人物のほとんどに感情移入できるし、全体としていい作品なんだけど、吉岡秀隆が演じる判事だけは、法廷でも家庭でも、その言動が非常に不愉快で許し難い。痴呆の父の面倒を全部妻に押しつけておいて、えっらそーに、てめーは何様のつもりだ?!って感じ。まあ1人ぐらい、妻殺しの犯人につらく当たる人間が必要だったのかもしれないけど、こんなヤツが目の前にいたら延髄斬りモン。そもそも、吉岡秀隆という俳優自体、顔もしゃべり方も大嫌いなので、余計にムカつく。いい年して、しかも俳優のくせに、ガキみたいな舌っ足らずなしゃべり方してんじゃねーよ。顔も不細工だし、なんでこんなヤツに仕事が来るのかまったく理解できない。
それにしても、アルツハイマーになって自分で自分がわからなくなり、いろんな意味で周囲に負担をかけるだけの存在になってまで、生きていたいと思う人間なんか、この世の中にいるのか? 誰だって、そうなる前に殺してほしいと思うだろう。生前に遺言を残しておけば、生命維持装置を外してもらえる場合はあるようだけど、自力で呼吸や飲食ができる場合はいくら脳が壊れても合法的に死なせてもらう方法ってないのかねぇ・・・? 痴呆になってまで生き続けなきゃいけないなんて、逆に残酷だと思うけど。
鑑賞日:2005年2月6日
製作:2003年・日本