監督:ウォン・カーウァイ
出演:トニー・レオン
チャン・ツィイー
ワン・チンシアン
チャン・チェン
PRIDEもK-1もDREAMなどの後発勢も消え失せた今や、はっきり言ってこういう映画で発散してます、ハイ。なので、闘いのシーンが美しくて見事で芸術的なのは非常にうれしい。しかし、そこはやはり映画であるから、ストーリー全体のまとまりがないとことが少し気になってしまう。最後まで見た時に、全編を貫くストーリーがないというか、淡々とし過ぎているというか、最後の最後にとってつけたように説教されても「だから?」と思ってしまう。
イップマンという実在の伝説の武闘家の伝記にしては、トニー・レオンは常にポーカーフェイスにしているだけでイップマンの人間性がさっぱり分からない。カミソリに至ってはイップマンと何の関係もないし、他の登場人物とのからみもほとんどないし、登場させた意味がよく分からない。(いや、カミソリ役のチャン・チェンが格好いいから、いいんだけどね。彼を最後に見てから10年以上経ってるけど、まだまだイケてる)
もちろん、映像の美しさだけでも見る価値はあるし、嫌いではない。年寄りが強かったり、女が強かったり、カンフーは腕力ではないというのも面白かった。
トニー・レオンは、いいおっさんになったなあとは思ったけど、オーラがすごかった。それに、最後はおっさん通り越して「爺さんと呼んでくれ」だから、まああれでいいのだろう。途中まですっぴん風メイクで感動的に美しかったチャン・ツィイーが、終盤で見せた変わり果てた姿には感動すら覚えた。
最後にこの作品を一言でまとめるなら「盛者必衰」。迫力の劇場で観たかったな。
鑑賞日:2014年1月31日
製作:2013年・香港