監督:瀬田なつき
出演:山田杏奈
鈴木仁
森田望智
成海璃子
山田杏奈と鈴木仁が好きだから見たのだが、心底がっかりしたし、腹が立つ。この映画って、一体全体なんなのか? 分かる人にだけ分かる芸術作品?
原作は80年代のマンガらしいが、それをほぼそのまま2020年に持ってくる時点で根本的に無理がある。バブルに向かう勢いがある当時の東京と、しょぼくれまくった現代の日本。いくら「オリンピック前夜だよ」と、工事中の建物をたくさん映して煽ったところで、時代が違い過ぎる。
確かに当時は、不良ではない普通の中高生も店で飲酒をしていたし、私も高校時代にさんざん「ディスコ」に通ってコークハイ飲んでた。けど、今の東京で「普通の」高校生が店で飲酒なんかしないでしょ? ってか、そもそも高校生をあんなイベントに誘わないし、どんだけ非常識だよ<成海璃子演じる姉(水ぶっかける時点であり得ないけどね)。飲む、盗む、ヤる、高校中退、朝帰り、不法侵入・・・ただの非行少年少女の話じゃん。
演出も本当に白々しくて鬱陶しい。ぶっちゃけ、冒頭のとてつもなくわざとらしい朝のシーンで、いきなり見るのを止めたくなった。その後も延々と、とってつけたような、あり得ない、くだらない、つまらない、意味不明な展開が続き、何度も何度も見るのを止めようかと思った。でもいつか面白くなるかもしれないと、我慢して最後まで見たが、本当に苦痛だった。
現実味が薄くても、高校生の甘酸っぱい青春物語になっていればそこそこ楽しめるのに、全然そんな感じでもない。ラスト前12分あたりで、もしかしたらこの瞬間を見るための2時間だったのかも、と思いかけたのだが、いいシーンは本当に瞬間で終わった。その流れでそのまま二人で朝まで・・・って、あり得なさ過ぎる・・・(さすが、非行少年少女)
結果、最後までまったく1ミリも共感できず、ただ時間を無駄にしただけだった。
山田杏奈はとても可愛いし演技派なのに、こんなつまらない役をやらされて本当に気の毒になる。
鈴木仁演じる神奈川ケンイチは、行動の整合性がまったくなくて本当にイライラする。思いつきで高校中退って、頭大丈夫か?(ってか、いくら生徒が勝手に宣言したって、保護者が手続きしなかったら退学にならないっしょ???) 先生とキスする意味って何??? ヤりたがったくせに、向こうから誘われればスネる。かと思えば、よく覚えてすらいなかった相手とあっさりヤる。わけ分からん。パン1シーンが無駄に多いのは、サービスのつもりか???
いきなりグアテマラに行く売春婦って、もう意味不明過ぎて笑うしかない。そもそも彼女のキャラなんて80年代そのものであって、2020年ではありえないし。
滝澤エリカ演じるカエデだけは、ほんのちょっと好感を持てた。
名字がみんな地名になっているし、人間じゃなくて東京の街が主人公なのかなとも思ったのだが、それにしては景色のつなぎ方、位置関係なんか滅茶苦茶だし、ホントになんなの、この作品?! 万が一、映画館で観てたりしたら暴動モノだね。
鑑賞日:2022年3月26日
製作:2020年・日本