監督：磯村一路
出演：田中麗奈
　　　真野きりな
　　　清水真美

　1976年の四国が舞台。景色の美しさや日本的な町並み、いかにも昭和の日本といった風景。それだけで、何だか心が和む。

　主人公は、部活のボートに打ち込む高校生。つらいトレーニングや挫折、大人との葛藤、淡い恋。どこにでもありそうな、誰もが経験したような、子どもと大人の狭間で、長い人生の中、一瞬で通り過ぎてしまう「青春時代」の物語。つらかったことも苦しかったことも悩んだことも、過ぎてしまえばすべてがきらきら輝き、美しく懐かしく愛おしい、そんな瞬間のできごとたち。

　物語は、終わらない。なんとなく、エンディングのテロップが流れ出す。

　舞台は1976年。冒頭に描いたような日本の風景が、今はまったく消えてしまったというわけでもないだろう。そうじゃなくて、主人公たちはもうすぐ40なんだな・・・と気付いた。

　「20歳になったら、30歳になったら、40になったら・・・」「10年後のことも考えられない」と、このまま時が止まればいいと願った主人公たちは、映画を見ている私たち。物語の続きは、映画を見ている私たちのそれぞれの人生。

　これは、大人たちへの応援歌なんだな・・・

鑑賞日：2000年１月27日
製作：1999年・日本