監督:LOUIE PSIHOYOS
出演:RICHARD O'BARRY
LOUIE PSIHOYOS
確かに、入り江の海水が殺されたイルカの血で真っ赤に染まった映像は衝撃的ではあるけれど・・・でもそれって、牛や豚の屠殺場だって同じことでしょ? うまく作られた作品だと思うし、これを反日映画だのなんのと難癖つけて上映妨害するのはお門違いも甚だしい(そういうことする気違い連中って、絶対に現物を見てないでしょ? 見てから文句言いなよ。他の人にも見させて、自身で判断させなよ)。この映画が作られなかったら誰も知らなかったような、太地町という日本の小さな漁村が、世界中の水族館やウォーターパークにイルカを供給しているなんて話は、純粋に「へぇ〜」という感じで興味深かったよ。イルカや鯨の肉(他にもいろいろ、例えばマグロ、特にトロとか)に高濃度の水銀が含まれていて人体に有害だという話も、みんなもっと知っておいたほうがいいと思うし。
それに、確かに昔は鯨が貴重なタンパク源だったかもしれないよ。でも今のこのご時世、大多数の日本人は鯨やイルカなんか食べないし、食べようとも思わずに生きてる。なにも世界の反感買ってまで無理して、水銀に汚染された鯨やイルカを食べなくてもいいじゃん、とも思う。確かに鯨が絶滅の危機に陥ったのは欧米が乱獲して脂だけ取って他は捨てる、というとんでもないことをしたせいだし、それを今になって保護しましょうなんてムカついて胸クソ悪いというのはよく分かるけどさ・・・
それにしても、だよ。イルカ解放活動家たちの行動には、百歩譲っても共感できない。イルカ(や鯨)は頭がいいから、という人たちには、じゃ牛や豚はバカだから殺してもいいのか?と聞きたいし、さらに、じゃ知的障害者や頭の悪い人間は殺してもいいんだね?と言ってやりたい。そもそも、あそこで屠殺されているイルカ以下の扱いをされている人間は、今現在でも無数に存在する。人間なんて生き物は、戦争(含:内乱)になったら人間に対してだってああいうことを平気でする。政治的経済的など様々な理由から、人間同士でリンチもすれば拉致拷問も虐殺もする。それなのに、なんでイルカだけにあそこまで感情移入して世界中奔走するのか、さっぱり理解できん。活動資金はどっから出てるんだろうねぇ。
彼らの話を突き詰めたら、世界中の人はベジタリアンになりなさい、って話になっちゃうよね? さらに世界中の動物園も水族館も廃止してすべての生き物を自然に返せ、学校で動物を飼うことも、個人でペットを飼うことも、全部禁止。毛皮製品はもちろん、皮革製品も全部禁止。・・・などなど。そんなこと、可能だと思うのか?
いや、守りたいのはイルカ(や鯨)だけ、と言うのなら、そんな変な話はない。他の生き物は可哀想じゃないのかよ? 個人的にイルカが好きだから、なんて、そんな活動に誰が共感できるか!
鑑賞日:2010年10月8日
製作:2009年・アメリカ