監督:北野武
出演:ビートたけし
樋口可南子
柳憂怜
吉岡澪皇
前半、主人公の子ども時代は、なかなかいい感じであった。吉岡澪皇が適役で、淡々として感情をあまり表に出さない少年をうまく演じていた。
ところが、主人公が「青年」になったところで、それはもう大きく落胆・・・。40代も後半の柳憂怜のどこが「青年」だ?! 晩年まで同じ役者が演じるから、というならこの配役も分かるが、晩年をたけしが演じるのなら「青年」時代はちゃんと青年の俳優を使いなさいよ!
大体、いくら苦労したからって、なんであの美少年がこんな貧相なおっさんになっちゃうんだよ? こんな冴えない、口角が下がりきったくたびれた男が、女にもてるわけがない。現実離れし過ぎ。貧乏で変人で、覇気のかけらもなく辛気くさいこの男の、一体どこに惚れろというのだ?! このキャストのせいで映画全体の評価が大きくマイナスになったよ。
確かに「手紙」でも、他人を拒む辛気くさい男に美人がしつこく押しかけてくるが、あれは山田孝之だから押しかけてくるんである。柳憂怜みたいな「青年」に、美人が押しかけてくるわけね〜じゃん!
後半、たけしが出てきてからは、もう「最近の北野武」全開の笑えないブラックユーモアの連続。それでもついつい見てしまう私・・・
ところで、冒頭の「アキレスと亀」のお話が本編とどう繋がるのか、分からなかったなぁ。最後にどうして追いついたことになるのかも、まったく不明。誰がアキレスで、誰が亀なの?
で結局、真知寿の絵は本当は売れてたんだよ・・・ってことで、いいのかな???
鑑賞日:2009年4月10日
製作:2008年・日本