監督:辻仁成
出演:アントニオ猪木
林凌雅
北村一輝
辻仁成が結構な嫌われ者のせいかどうか知らないが、何故か公開までに2年もかかったり、せっかく猪木さんを主演に迎えての作品なのに世間から無視されている感のあるこの作品。なかなか悪くないし、もうちょっと日が当たってもいいのではないかと思ってしまう。
素な感じの猪木さんの演技はとてつもなく愛おしいし、最後の方では「例えほうきが相手でも名勝負ができる」と評された猪木さんの神業プロレスの片鱗も拝める。子役の林凌雅も役になりきってよくやっている。
6歳の時に小児ガンで亡くなった最初の娘のこと、おそらく今でも大好きな元妻(倍賞美津子)のことなど、猪木さんが演じながらどんな心象を描いていたのか、そういったことに思いを馳せながら見るとさらに感慨深い。
猪木さんの元妻が石田えりって、若過ぎでしょ、昔の写真とつじつまが合ってないよ、と突っ込みたくなったりもするが、そこはご愛敬。(さすがに倍賞美津子は使えなかったんだろうな・・・)
少し懐かしい感じの自然が残った町並みや美しい景色も素晴らしいし、舞台が老人ばかりの団地なのに妙に明るいのもいい感じ。全体に展開がスローで、のめり込んで見るようなタイプの作品ではないけれど、とても優しくて、寂しいけれど希望もあり、静かだけれど暗くない。死を強く意識しつつ、再生を描いている。結構いい映画だと思います。
鑑賞日:2011年2月16日
製作:2008年・日本