☆ WE NEED TO TALK ABOUT KEVIN(少年は残酷な弓を射る)

監督:LYNNE RAMSAY
出演:TILDA SWINTON
   JOHN C. REILLY
   EZRA MILLER

 無茶苦茶後味の悪い、見終わった後で胸がもやもやするような作品。

 単刀直入の分かりやすい映画とは正反対なので、なかなかつかめない全容を早く理解しようと全神経を集中して見入ることになるか、分かりにくくてつまらないと見るのを止めてしまうか、二分されそうな作品。よく見ると、細かい描写が非常にていねいに登場人物たちの本質を現している。子役も、よくやってる。

 それにしても、子どもができたばっかりに地の底を這うような苦しい日々を強いられ、周囲からの嫌がらせも甘んじて受け、「死んだら地獄に堕ちるに決まってる」と運命を受け入れて悟りきった主人公には気の毒としか言いようがない。どんな子どもが生まれてくるかなんて親は選べないし、子どもの性格や性質なんて99%は生まれつきなのにね・・・(自分だって、誰に教えられたわけでもないのにアナーキーな性格?だし、生まれた時から?日本が嫌いだったし、基本的にひねくれてるし、どうしてと言われても親のせいでも教育のせいでもなんでもない生まれつきである。母親の妊娠中の精神状態は多分に子どもの性格に影響するようだが、そこまで責任を問われるのなら誰も子どもなんか産まない)。こんな子じゃなくても子育てはストレスとの闘いなのに、こんな悪魔のような子を虐待もせず殺しもせずに大きく育てた主人公は逆にほめてあげてもいいぐらいだと思うよ。

 邦題はくだくだ長い説明的なものより、あっさり「ケビンのこと」とか「ケビンについて」のほうが良かったんじゃないの?

鑑賞日:2012年7月7日
製作:2011年・イギリス


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