監督:成島出
出演:井上真央
永作博美
小池栄子
渡邉このみ
いつも悪いのは身勝手で無責任な男たちなのに、傷ついて苦しむのは女ばかり。そんな男達が責められるシーンは何故か皆無だし、全編を通じて男達の存在感はびっくりするほど希薄だ。作品の主題があくまで女達を描くことだから。
最初、なぜ日本では赤ちゃんを置き去りにして出かけたりできるのか?!というところに怒りが沸いてしまった。アメリカだったら、家でも車内でもほんのわずかな時間でも子どもだけ置き去りにしたら親が逮捕されるし、目撃者がいたら即座に通報される。乳幼児を車内に置き去りにしたり一人でトイレに行かせて殺されたり事故になったり、そういう事件が次々起こっているにもかかわらず、同じ愚を犯す人は絶えないし、日本の法律を変更しようという話も聞かない。どんな事情があろうと、赤ちゃん一人家に置き去りにして出かける親が悪い!と怒ってしまったけれど、途中からそんなことはどうでも良くなって、映画に入り込んでしまった。
なにしろ男優の陰は本当に薄い映画で、女優陣の演技がどれも素晴らしくて引き込まれる。永作博美と小池栄子が特にいい。
子役の渡邉このみはとにかく可愛くて切なくて可哀想で、泣けた。小豆島の美しい情景と母子(血のつながりはなくても、そこにあるのは明らかに母と子の愛に満ちた姿)の優しい姿に、また泣けた。実際は単に自分の子と重ねていただけで、そうじゃなかったらもっとさらっと見られたのかもしれないが、なにしろ「ママ」「ママ」という呼びかけからして寝ているはずの自分の子が起きてきたのかと思ったほど。年頃も同じだし、甘えるしぐさに話し方、Tシャツに短パンだと男の子に見えるところも一緒。この年頃の子は大抵みんな一緒なのかもしれないけれど。見ているうちに、今すぐ自分の子を抱きしめたい衝動にかられてしまった・・・
終わり方は少しあっけなかったけれど、思い出しては何度も泣けてきた。本当に切なくて苦しいお話。実生活での子どもに対する接し方まで少し変わってしまったぐらい、心揺さぶられてしまった。
鑑賞日:2011年12月17日
製作:2011年・日本